好きになんて。 (ページ10)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:16,127 hit

１０ページ10

藤｢よし、完璧。お客様、いかがですか？｣

なんて髪を乾かし終わった太輔さんは言ってくるから

｢いい感じです。ありがとうございます。｣

なんて私も返す。

藤｢それじゃ先に寝てていいよ。｣

｢分かりました、おやすみなさい。｣

藤｢おやすみ。｣

さっき案内された寝室に向かうとさっきも見た大きなベッドが1つ。
太輔さんは特に何も言ってなかったし多分ここで一緒に寝るんだよね？

会った初日に一緒のベッドなんて眠れる気がしないし、寝るタイミングが別だったことを心から安堵する。
本当は一緒のベッドも気が引けるしリビングのソファーで寝たいって言いたかったけど太輔さんは今リビングでお仕事中だもんね…

ベッドに入るとふわふわで気持ちいい。
太輔さんの部屋に入った時から思ってたけど太輔さんも太輔さんの部屋も甘いいい匂いがする。
香水かな？って思ってたけどベッドも同じ甘い匂いがするから多分香水じゃないんだろう。

太輔さん、完璧すぎない？

太輔さんは私に一目惚れしたって言ってたけどそれを聞いても尚、何で私？と思ってしまう。
私がこの家に来てから時間的にはまだ3時間も経ってない、それは太輔さんと一緒に居た時間もそれくらい少ないということで。

こんなに短い時間で私は太輔さんの魅力をいくつ見つけただろう。
好きになるには十分すぎるし、私にはもったいないくらい素敵な人で。

でも、だからといってすんなりと結婚を受け入れられるかと言えばそうでも無い。

彼氏がいた事すらない私は手を繋ぐこともキスすることも、もちろんそれ以上のことだって初めてなワケで。
そういうことをするってことも不安だし。

"入籍は次の土曜日"

太輔さんのこの言葉を思い出して、思ったよりも早いな…って思った。
そりゃあ普通のカップルが結婚するのとはわけが違うけど私はまだ太輔さんのご両親にお会いしたことは無いわけだし。
私の親はどこにいるか分からないから太輔さんのご両親と顔合わせすることは出来ないにしろ私は挨拶くらいきっとしなければいけない。

そんなことを考えてたら気がついたら眠りについてた。

―――

はっきりとは覚えていないけど私は夢の中でずっと笑顔でいた気がする。
誰だか分からないその人と過ごす笑ってる自分は今よりもずっと幼く見えて。
それを客観的に見てる…みたいな夢だった。