好きになんて。 (ページ3)

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男の人が帰ってしばらくは放心状態だった。

そう言えば明日の夜に藤ヶ谷さんって人と会うって言ってたな。
家出る準備もしとけって。

まさか自分がこんな早くに結婚することになるなんて思わなかったし、恋愛結婚じゃないなんて思わなかった。
玉の輿に乗りたいな～なんて考えてたけどこれは絶対に思い描いてたものではない。

･･･え！？家出る準備！？！！！？

我に返って男の人が言った言葉を理解した時にはもう夜の10時をまわっていた。

｢はぁー、準備しなきゃ。｣

大きめのキャリーバッグに必要最低限のものを詰めていく。
それでもキャリーバッグだけにおさまるわけない。

｢どこかにダンボール無かったかな｣

｢ドッキリでしたーとかならないかな。｣

｢藤ヶ谷さんってどんな人なんだろう｣

｢好きな人と結婚したかったなぁ｣

いつも独り言なんて言わないのに、今日は独り言が止まらない。
結局ダンボールは見つからなくてキャリーバッグと昔使ってたスポーツ用のデカいバッグに詰め込んだ。

全部終わった頃には夜中の3時になっていて、明日も大学なのにな...と思う。

朝起きて、冷蔵庫に残ってるもので軽く朝食を作って食べる。

｢この家で朝ごはん食べるのも最後かぁ｣

相変わらず独り言は止まらない。

学校に着くと学年主任の先生に呼ばれる。

先｢結婚すると聞きましたが、本当ですか？｣

｢はい、本当です。｣

先｢そうですか。ご両親の話も聞いてます。この話は学園長と私しか知りません。結婚することは周りには隠してください。｣

｢はい。｣

もう親のことも結婚のことも知ってるのはきっとあのスーツの男の人が言ったんだろうな。
自分で伝える手間が省けて良かった。

いつも通り友達と自分の取ってる授業を受ける。
昨日というか今日だけど、寝たのが遅かったからとても眠くて普段そんな事ないのに授業中寝てしまう。

今日は4時半に終わってそのあとバイトがある。
そう言えば私はバイト終わりどこに行けばいいんだろう。
そんなことを考えてたら最後の授業も終わる。
メールが来てたから見てみると

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おつかれ～
今日のバイト終わりに迎えいってそのまま藤ヶ谷さんの家に行くから。

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という内容だった。
友達か？と言いたくなるような緊張感のないメールの送り主は言われなくても分かる