光

１９(宮田side) ページ19

その時に慰めてくれたのが、その男子だった。



部活の後の練習にも付き合ってくれて、でも大会前じゃないから2人だけ。

Aは打てないことに焦って、焦れば焦るほど打つことの感覚が分からなくなっていった。




感覚が分からなくなることが怖くて、呼吸が荒くなるほど泣いてしまって、その男子は落ち着くまで一緒にいてくれたらしい。



背中さすってくれたり、色々な言葉をかけてくれたりして、慰めてくれた。




それを見た人が"付き合ってる"という噂を流した。
もちろんAも高嶺の花の男子も否定したけど、そんなの意味無かった。




結南も水葵も、最初は信じてくれてた。
でも最悪なことに、写真が出回ったんだ。


背中をさすってくれてる姿が、角度によっては抱き合ってるようにも見えた。

その写真をきっかけに"そういえばこんな事もあったよね"なんて、あることないこと色々な噂を流された。



女の嫉妬は女に向かうから、Aは女子から無視をされ続けた。
直接的な暴力とかのいじめじゃなく、形の残らない無視といういじめ。



結南と水葵も周りの空気に流されたのか、だんだんとAと距離をとり始めた。


男子は変わらず接してくれてたけど、それを見て女子は"男に媚びを売ってる"って言った。




野球は引退まで続けたけど、その頃にはAに友達と呼べる存在は居なかった。

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