太宰の妹は光を心に灯さない−３譚−[文スト]

８６話「大粒の涙、一握りの命」 ページ16

＿＿＿

3番目の倉庫を見ていたとき

ｺﾂｺﾂｺﾂ
ｻﾞｯｻﾞｯｻﾞｯ

3人の足音が中に響く

『……、！！…こんな所にいたのかい』

倉庫の奥の方に隠されるように
頭から血を流してそこにいた

壁にもたれかかり生気を感じられなかった

首から脈をみても、、動いていない
身体は冷たくなりかけていた

『…』

彼女はソレの前にしゃがみ

肩に手を置き呟く

『…ごめんね、もっと早く見つけられたら
よかったのに…

こんな最後にしてしまった

君をこうした男は
ちゃんと始末しておいたよ

すまない

こんな冷たい場所で
死なせてしまった』

ひとつ、またひとつと
コンクリートの地面に雫がおちる




『また、私は…』


仲間を失っていく…



多くの人が死んできた

1人1人に悲しむのは
無駄なことだろうか





先程、人の首をおとし
それを無表情で見ていた人間だとは

思えないほど
慈悲にあふれていた

立原と銀に背を向けている状態でも
それが感じとれる


立「ｯ…」

銀「…」


人の命は死と隣り合わせ

そこらの人間より
彼女らがそれを分かってる


目の前で人が亡くなり
自らの手で命を消し去ってきたのだから



(嗚呼、この世は






息が苦しい




彼女は静かに泣くのだ
表情をくしゃくしゃにすることなく

人形が泣いているようだと
勘違いしてしまいそうになるが


仲間である彼らは理解している


人形とは違う
瞳の中に悲しく揺れる灯火があるのだから

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