14話 ページ15
上宮side
さっきの立花さんびっくりしたなぁ。みんなで和臣からかってたら急にきつい声出すんだもん。なんだったんだろう。ま、いいか。
少し気になったけど、和典の話に意識を戻す。
「考えられるのは、三通りだ」
同じく。
「第1は、単なる乗り逃げ。第2は、若武にうらみを持ってるヤツのいやがらせ。第3は、生徒の規則違反を発見した秀明の教師、あるいは先輩が見せしめのために隠した。以上だ」
さっすが。でもな、んー、第4のセンも無くはないけどそれはただの私の想像だし、言わなくてもいっか。ここは和典の案で事足りるでしょ。
どんどん会議は進んでいく。和臣のうらまれてるリストはほんとにびっくりした。こいつの家庭、大丈夫なの?
和臣は立ちあがり、立花さんのそばにいき、チョークを取りあげた。
「犯人は、この三つの条件のどれかにあてはまる人間で、しかも犯行時間である17時5分から21時3分までの間にアリバイがなく、そのうえチェーンをちぎる怪力の持ち主だ。同時に、ダイヤル錠をあけることができない頭の持ち主でもある。これだけの条件が重なれば、きっと見つけることができるはすだ。手分けして当たろう」
カタカタとチョークの音をさせながら和臣は、2番と3番のとなりにみんなの名前を書きこんだ。
2番が、貴和と立花さん。
そして3番が、和典と和彦と私だった。
私たちは、それを見て、いっせいに叫んだ。
「若武/和臣、おまえはなにするつもり?」
和臣は少し気取って両手をウエストにあて、私たちを見まわした。
「オレは、リーダーだ。リーダーの仕事は、みんなをまとめることに決まっている。本物のリサーチ事務所や警察でも、トップは歩きまわらないんだぜ。デスクに張りついてて、みんなからの連絡を待ってるんだ。みんな、わかったことはオレに報告してくれ。それを聞いて、オレがこれからの方針を立てていく」
……………はぁ。まったく、いつものことだけど、こいつは…………。
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作者名:ゆきしま | 作成日時:2021年3月25日 17時