儚き天使【賢者の石】 (ページ21)

今日:12 hit、昨日:20 hit、合計:23,379 hit

21 ページ21

「ここですわね」

『クィレル先生はいらっしゃるかしら？』

Aとミリセントは、クィレルの部屋の前に来ていた。

始めに教室に行ったのだが、いなかったのだ。

「では、私はここで待ってますわね」

『ミリセント、ありがとう』

Aが扉をノックすると、少ししたあと、あのおどおどとした返事が返ってきた。

そして、クィレルが扉から出てきてAは中へと入った。

『クィレル先生、前に借りてた本なのですが、返すタイミングがなく遅くなってしまいすみません』

Aが本を渡しながら言うと、クィレルは微笑みながらその本を受け取った。

「大丈夫ですよ。そうです、せっかくなのだからお茶でも飲んでいきませんか？」

いつもとは違う話し方のクィレルに、Aは驚いた。

そして、固まっているAの前の椅子を引き、エスコートまでしてきたのだ。

途中まで頭が追いつかなかったが、ミリセントが待っていることを思い出した。

『あ、友達が外で待っているので、今日は帰らせていただきます。』

そう言って、Aは逃げるようにクィレルの部屋から出て行った。