儚き天使【賢者の石】 (ページ15)

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Aは寮から大広間へ向かう途中、泣いている女の子が大広間とは違う方向へ走っていくのを見た。

せっかくのハロウィーンなのだから、泣いてご馳走を食べ損ねたらもったいないとAは追いかけていった。

『ねぇ、そこのお嬢さん、待ちなさい』

Aの声かけに、少女は立ち止まった。

『なんで泣いて…って貴方、ハーマイオニー？』

「A…？」

その少女は、列車で出会ったハーマイオニー・グレンジャーだった。

『もうすぐパーティーが始まるわよ』

「気分じゃないの、私のことは気にしないで行っていいわよ」

そうは言われても、女子トイレで泣いてる女の子を放って行くほど無慈悲ではない。

『…そう、私も気分じゃなかったからちょうどいいわ。話し相手になってくれる？』

ハーマイオニーは少し驚いた様子でAを見た。

出会った時もそうだが、授業の様子を見ても、周りに興味を持っていないと思っていたからだ。

泣いてる理由も無理に聞き出さず、本当にただお喋りをするAを見て、ハーマイオニーは少しずつ話し始めた。

『そう、そんなことが…』

「あの2人は友達だと思ってたのに、裏切られたみたい」

『…そう思うのも無理はないわ。でも、貴方も思い当たるところがあったんじゃないの？』

「…なんで分かるの？」

『それは…』