儚き天使【賢者の石】 (ページ8)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:23,333 hit

8 ページ8

パンジーは、まだAの顔を見ている。

流石に居心地が悪くなったAは、少し眉を下げた。

『あの、パンジー？私の顔に何かついているかしら…』

「いいえ？シミ一つ付いてないわ。」

『…そんなに見つめられると、少し恥ずかしいのだけれど』

遠回しに、もう見ないでくれと頼んでいるのだが、それでもなおAの顔に穴が開くのではないかと言うほど見つめている。

「おいパンジー、やめろ」

痺れを切らしたドラコが、パンジーをAから引き剥がし、叱った。

パンジーは悪びれもせず、なんだか不服そうな顔をしていた。

「いいじゃない、減るものじゃないんだから」

そうドラコに言うと、Aに、また明日、と微笑んで去っていった。

ドラコは少しイライラしていたが、Aはやっとあの視線から逃れられたのでホッとしていた。

『パンジーとは、いつの間に仲良くなったの？』

「仲良くなんてない、話しかけられたから医務室へ行くと言ったら勝手に着いてきただけだ」

あんな失礼なやつとは思わなかったんだ、とドラコは申し訳なさそうに言った。

…………………………

一方、パンジーは医務室を出てすぐに立ち止まって、医務室の方をみた。

「ドラコがずっと気にしてたから、どんなやつか見てやろうと思ってたけど…」

あの天使には勝てないわ、と笑いながら再び歩き出した。