84話 ページ37
「……ご馳走様でした」
「はい」
最後のスイーツをゆっくりと名残惜しそうに食べ終えた
のは良いのだけど、矢張り云わなくてはならないのだろうか
はっきり云ってこれ以上関係を持ちたくないと云うのが本心だ
乱歩さん然り、太宰さん然り
「………」
「君は……さ、敦君と同じ齢なんでしょ…？ちゃんと答えてね」
「……はい」
それでも拒否というのは出来ないらしい
「それがどうしました？」
「何かAって無気力だよね」
急に何を云い出すんだ、この人は
無気力……まぁ確かにそうなのかも知れないが、自分の事は生憎乍ら判らない
「そう、ですか？」
「何回かそういう瞬間を見たような気がしてさ。ふとしたほんの一瞬、時々その顔を覗かせる｣
「……」
「でもそれは本当にほんの一瞬で、直ぐに敦君の性格と云うべきかな、明るくなるんだ」
乱歩さんの観察眼を舐めていたのだろう
ほんの少しだけと気を抜いているからこんな事になったのかも知れない
「君が本当に敦君に成る時は目で判る。正確には目の色」
「矢っ張りですか」
「うん。Aが目の事で焦っていた時にその考えが浮かび上がった」
詰り、私が敦に成っている時は瞳の色は青
敦が敦に戻った時は元通りの黄色と紫の綺麗な瞳
二人で一つの躰に成る時は辺りの反応を見る限りだと恐らく片方ずつなのだろう
「………」
「Aはさ、何でそんな目をするの……？」
「……え」
「何か、泣くのを堪えてるような顔してる」
乱歩さんの言葉に思わず目元を触る
決して濡れている訳でも潤んでいる訳でも無い
「気の所為じゃないですか？」
「……そう」
何なのだろうか
それに結局君としてじゃなくて私として乱歩さんと会話しているじゃないか
何をやっているのだろう、自分は
てか、いつまで私は君のままなの
私もう良いんだけどな。君の居場所はちゃんと確保したし、鏡花ちゃんだって仮だけど入社した
これ以上何をすれば良い？
何も無いじゃないか
なのに何で君は
私を生かす？
「っ、Aッ……」
「……はい」
「もう一つ、君はふとした瞬間に顔を見せる」
まだあったのか
「何かを諦め、何かに絶望して………死を望むような顔だ」
「へぇ……」
今思っていた疑問が顔に出たのだろうか。だから乱歩さんは焦った様に私の名前を呼んだのか
「君は、何を思ってるの………教えて」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 286人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
銀色ミカン(プロフ) - 1話から一気見しちゃいました！面白いです！更新待ってます。頑張ってください！ (2017年12月17日 2時) (
レス) id: c55513f974 (このIDを非表示/違反報告)
時雨零(プロフ) - お待ちしておりました！おかえりなさい！ (2017年11月14日 0時) (レス) id: 7585b82a1c (このIDを非表示/違反報告)
芋娘＠悪の伝道師?ウリエル?(プロフ) - ﾌｧｯ!?オーストラリア！？あらまー…お気を付けて！！ (2017年10月31日 14時) (レス) id: a51cded6e4 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - オーストラリア！！！羨ましい…！楽しんで下さい！！！ (2017年10月30日 22時) (レス) id: 97c5c84046 (このIDを非表示/違反報告)
ロイゼ@魔法契約民(プロフ) - いってらー、です！ 楽しんできて下さいね(^^*) (2017年10月30日 16時) (レス) id: 677bf3b84c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：のんのーー
| 作成日時：2017年10月15日 20時
