検索窓
今日:4 hit、昨日:25 hit、合計:262,385 hit

66話 ページ18

乱歩さんの腕を掴んで走って空いてそうな部屋に飛び込んだ


入った瞬間に鍵を閉めて腕を掴む手をパッと話す




「珍しいね、どうしたの?」


「乱歩さんは此方側ですよね?そうですよね?協力してくれるんですよね?」


「うん、まず落ち着こう。はい吸ってー」


「ふぅー」


「……吐いてー」


「すぅー」


「何で逆なの……?」


「気分です」


「……元々冷静だったのはよく判ったよ」




手に拳を作ってグッと握れば呆れられた。違う、今こんな事やってる場合じゃない

ちゃんと向き直して乱歩さんと目を合わせる




「あの、太宰さんが核心に迫ってきてます。……多少助っ人の手が加わったみたいですけど」


「ふーん……んで、相談したかった事はそれ?相談ってより報告じゃん」


「あー……そうですね、報告です」




それで話は終わり、少し沈黙が生まれた


何でそれだけで扉に鍵掛けちゃったんだろう

てか乱歩さんの事引っ張って云う事じゃ無かった


迷惑かけちゃった




「ねぇ」


「は、はい」


「迷惑とかそんな事は考えなくて良いんだけどさ。目、どうしたの?」


「何か付いてますか?」


「ううん。ただ目の周りを先刻から触ってるから何か気になるのかなって」


「えっ…」




乱歩さんの台詞に躰が固まった


手を意識してみれば、確かにそれは目の周りを触っている




「無意識、でした……」


「何か気になる原因とか心当たりとか有るの?」




目、かぁ……


あ、そういえば




「鏡花ちゃんとか国木田さんとか芥川が何か瞳の色がどうとか、そんな事云ってた気がします。だから多分……」


「無意識に気になってたと」


「はい」




何か変化が起きているのだろうか


こればっかりは自分で見る事が困難な部分だから確認が難しい




「そんなに気になるなら見てみる?手鏡持ってるよ」


「はい、ありがとうございます」




私の様子を見かねてか乱歩さんが提案してきた


何で手鏡持っているか謎だけどありがたく受け取り自分を写す




「っ!?」




写し出された敦を見て目を見開かずには居られなかった




「敦君、どうした?」




躰が再び固まった



手が震えだした



心臓の音が五月蝿い



ハクハクと口から空気が抜ける



呼吸の仕方を忘れそうだ




「っ敦君、敦君!……Aっ!!」


「……がぅ……」


「え?」


「違う……こんなの、君じゃ………っ」




鏡に写し出された“敦の顔をした私”の瞳は






青かった

67話→←65話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (232 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
286人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

銀色ミカン(プロフ) - 1話から一気見しちゃいました!面白いです!更新待ってます。頑張ってください! (2017年12月17日 2時) (レス) id: c55513f974 (このIDを非表示/違反報告)
時雨零(プロフ) - お待ちしておりました!おかえりなさい! (2017年11月14日 0時) (レス) id: 7585b82a1c (このIDを非表示/違反報告)
芋娘@悪の伝道師?ウリエル?(プロフ) - ファッ!?オーストラリア!?あらまー…お気を付けて!! (2017年10月31日 14時) (レス) id: a51cded6e4 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - オーストラリア!!!羨ましい…!楽しんで下さい!!! (2017年10月30日 22時) (レス) id: 97c5c84046 (このIDを非表示/違反報告)
ロイゼ@魔法契約民(プロフ) - いってらー、です! 楽しんできて下さいね(^^*) (2017年10月30日 16時) (レス) id: 677bf3b84c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:のんのーー | 作成日時:2017年10月15日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。