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64話 ページ16

少し薬品の匂いがする


眩しい



そんな事を思い、目を覚ました



目を開けると視界に入るのは矢っ張り見慣れた白い天井で、躰に掛かるのは白い布団



手を閉じたり開いたりすると確り動くし、脚だって思いのまま動く




「はぁ………」




声も出せる


亦、彼として目覚めてしまった




「起きて早々溜め息とは中々だね」


「あ、太宰さん。起きる時って何か怠くなりません?布団が離してくれない感覚が有るって云うか……」


「まぁ判らなくも無い……でも起きて、上半身起こすだけでも良いから。一寸聞きたい事があるから」


「はい」




お言葉に甘えて上半身だけ起こして寝台に座るような状態になる



太宰さんと対面状態なんてあんまり無かったな

こーいう時ってさ、嫌な予感しかしないよね



だったら乱歩さんが良かった




「それで、僕に聞きたい事って何ですか?鏡花ちゃんについて?」


「ううん。君について」


「ぼ、僕について、ですか?」


「うん、そう」




ニッコリと詐欺師みたいな笑顔で頷いた


あー怖い怖い。鳥肌立つんだけど




「単刀直入に云うね?」


「は、はい」


「敦君、中也に会ったでしょう。彼奴が云ってた」


「中也……?」


「そう、中原中也」


「あっ中原さんですか」




何云ってんだよあの重力無視野郎


しかも態々こんな面倒臭い人間に……



あー、そういえば敦と芥川が勝負してる間に会ってたんだっけ




「頬にキスされたんだってねぇ」




マジで何云ってやがるんだよ




「あー……アハハハハ……男にされるとか屈辱ですよね……忘れようとしてたのに……中原さんは酔っ払ってたとは云え男好きなんですか?」


「心底どうでも良い」




……何でこの人普段より二つ三つほど声が低いの

背筋が凍るんだけど


なんか変に緊張して汗が出てくるし、心做しか心拍数も上がっている




「お、おお怒ってるんですか?」


「……苛ついては居る」


「……何故ですか?」


「えっ……」




何でそこで驚くんだよ


あれか。冷たく当たってる女子が本当は好きで、でも本人はそれに気付いてなくてその女子が他の男と仲良くしているのを見ると嫉妬するみたいな?


それで周りの男友達に指摘されて、はっ?みたいな顔するみたいな?



………自分で考えてよく判らないけど


取り敢えず少女漫画か




何だ、あんたも男好きか。中原さんと同類なのか







それとも単に私の存在がバレたのか……



どちらにせよ面倒臭い

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銀色ミカン(プロフ) - 1話から一気見しちゃいました!面白いです!更新待ってます。頑張ってください! (2017年12月17日 2時) (レス) id: c55513f974 (このIDを非表示/違反報告)
時雨零(プロフ) - お待ちしておりました!おかえりなさい! (2017年11月14日 0時) (レス) id: 7585b82a1c (このIDを非表示/違反報告)
芋娘@悪の伝道師?ウリエル?(プロフ) - ファッ!?オーストラリア!?あらまー…お気を付けて!! (2017年10月31日 14時) (レス) id: a51cded6e4 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - オーストラリア!!!羨ましい…!楽しんで下さい!!! (2017年10月30日 22時) (レス) id: 97c5c84046 (このIDを非表示/違反報告)
ロイゼ@魔法契約民(プロフ) - いってらー、です! 楽しんできて下さいね(^^*) (2017年10月30日 16時) (レス) id: 677bf3b84c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のんのーー | 作成日時:2017年10月15日 20時

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