59話 ページ11
ゴウンゴウンという音に目を覚ました
起き上がろうとしたらズキッと傷みが走る
……死んだと思ったんだけどなぁ
壁に手を伸ばして触れてみれば少し揺れているのを感じる
海の上……なのか
するとギィと音が鳴り、光が入ってきた
そこに立つのは鏡花ちゃんだ
「来て」
「……」
足に力を入れてフラつき乍ら彼女の元へ向かう
助けに来たとは云い難いけどそれでも行く
「!?」
外に一歩足を出した瞬間、突如足に何かが巻き付き引き摺られる
ジェットコースターより恐ろしい
「っ…」
そして思いっ切り放されて何かに激突した
先刻から扱いが雑なんだよ
「ぐあっ!」
顔を上げたら直ぐに腹部を蹴られる
足癖が悪いな。教育の問題だぞ、これ
その衝撃で地面に倒れる
「殺す積りで刺したが……不完全乍ら虎の治癒力が資されているか」
「此処は……」
「密輸船だ。武器弾薬の類を運ぶ。今日は貴様の為の貸切だが引渡しまでもう数刻もない。人生最後の船旅を楽しめ、人虎」
「断……る…」
腹部を踏んでくる足を掴んで離そうとする。すると芥川はこちらを見下ろして羅生門を操り手首を固定した
「……っ!ぐ……がっ……!」
「貴様の意思など知らぬ。弱者に身の振りを決める権利など無い」
腹に足がめり込んで呼吸がしづらくなる
その状況で目だけを動かし辺りを見渡せば隠れる所は多量にあるが直ぐに見つかるだろう
何せ力の差が違うのだから
「弱者は死ね。死んで他者に道を譲れ」
私だって出来る事なら譲りたいさ
先ず本人に道を譲ってやりたい
だけど本人はそれを許してくれないんだよ
それに此奴から感じる強い敵意………のようなもの
何故そこまで……
「武器庫から持出したか」
「彼を逃がして」
「外の世界に触れて心が動いたか?」
近くでチャキっと音がしたと思ったら鏡花ちゃんが銃を構えていた
だがそれは呆気なく切られて使い物にならなくなった。芥川は直後に鏡花ちゃんの首を絞める
「……ッ!」
「『どん底』を知っているか?其処は光の差さぬ無間の深淵だ。有るのは汚泥、腐臭、自己憐憫。遥か上方の穴から時折人が覗き込むが誰もお前に気付かない。ひと呼吸毎に惨めさが肺を灼く」
それは芥川の体験話なのか……?
「外でお前を待つのはそれだ、鏡花。『夜叉白雪』は殺戮の権化。そんなお前がマフィアの外で普通に生きると?」
「っ……」
286人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
銀色ミカン(プロフ) - 1話から一気見しちゃいました!面白いです!更新待ってます。頑張ってください! (2017年12月17日 2時) (レス) id: c55513f974 (このIDを非表示/違反報告)
時雨零(プロフ) - お待ちしておりました!おかえりなさい! (2017年11月14日 0時) (レス) id: 7585b82a1c (このIDを非表示/違反報告)
芋娘@悪の伝道師?ウリエル?(プロフ) - ファッ!?オーストラリア!?あらまー…お気を付けて!! (2017年10月31日 14時) (レス) id: a51cded6e4 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - オーストラリア!!!羨ましい…!楽しんで下さい!!! (2017年10月30日 22時) (レス) id: 97c5c84046 (このIDを非表示/違反報告)
ロイゼ@魔法契約民(プロフ) - いってらー、です! 楽しんできて下さいね(^^*) (2017年10月30日 16時) (レス) id: 677bf3b84c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:のんのーー | 作成日時:2017年10月15日 20時