42話 ページ44
目を開けると短時間で何回見るんだよ、と思わず云いたくなるほど見慣れた天井
目が開けられた
開けられてしまった
「ん……敦君……?」
腕を上げて顔の前で動かす
動かせてしまった
「死んでない………のか」
声までも出た。と思っていたらパンッと乾いた音が聴こえた
自分の視界が横に向き、頬からじんわりと痛みが広がる
あぁ、叩かれたのか
「何が、死んでないって……?」
自分の直ぐ近くから何時もより低く、怒りで震えた声がした
矢張り起きた時に聞こえたのは彼だったのか
「……乱歩さ」
「どれだけ周りの人間が心配したと思ってるの!?僕がどれだけ心配したか判る!?君は今!此処で!この躰で生きてるんだ!だからっ………そんな事云うな!」
彼の顔を見れば、少し目に涙が溜まっていた
唇を強く噛んで堪えている
「唇、切れちゃいますよ」
「っ、」
上半身を起こして口元に手を伸ばして顎を軽く下げれば噛む事を止めた
かと思えば腕を引いて抱き締めてきた
「……何故そんなに辛そうな顔をするんですか」
「何でそんな淡々としてるのっ……」
「駄目ですよ、こんなのを存在していると認識しては」
「厭だっ」
抱き締める腕に力が篭った
逃がさないと云っているみたいだ
彼の背中をポンポンと子供をあやす様にゆっくりとしたリズムで叩く
「僕は、認めない」
「乱歩さん……」
「君に何があって、どういう心境で此所に居るか僕には判らない。でも僕には君を放っておくなんて無理だ……」
落ち着いたのか、腕の力が少しだけ緩んだ
それでも離してくれない
「透明の水に絵の具を混ぜたら、その色になります」
「……」
「“私”は君で、君は君。彼と約束した言葉です」
「Aの存在が無い……」
「そうです、それで良いんです」
元々この躰は敦ので、この場所も、この空気も敦のものだ
なのに私が居るのは可笑しい話だろ?
だから私はどれだけ乱歩さんに説得されても、どれだけ優しい言葉をかけられても
「僕は僕ですよ、乱歩さん」
「Aっ」
「でも………偶には息抜きで此方を出すのも良いかも知れませんね」
「……!うん」
嬉しさからか、再び腕に力が入ってきた
それはどこか優しいものであった
「………」
少し開いた扉の隙間から砂色の外套が見えた気がした
真逆、本当に居たとはこの時は思いもしなかった
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或 - 初めまして。小説読ませていただきました。作風が悠りんさんと同じ気がします。作成日が悠りんさんは2016年のんのさんが2017年なので・・・とてもいい作品なので参考にするのはとてもいいと思いますが、あまりにも酷似するのは良くないかと。 (2019年10月25日 17時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
暁 - 蟻酸さん» 他の作者さんも敦くんの成り代わり設定のものを書いてらっしゃる人も多いです。それに、別に本誌にないくだりを考えていれてもいいのでは?本誌と同じようなものばっかりでは、あまり面白くないと私は思います。前のコメントに長文失礼しました。 (2019年3月30日 15時) (レス) id: d703cd32c3 (このIDを非表示/違反報告)
暁 - 蟻酸さん» のんのーーさんではありませんが失礼します。悠りんさんの作品は確かに成り代わりですが、のんのーーさんの作品は確かに成り代わりという形ですが、二重人格です。文豪ストレイドッグスが人気なため、成り代わりという設定が似てしまうのは仕方がないと思います。 (2019年3月30日 15時) (レス) id: d703cd32c3 (このIDを非表示/違反報告)
蟻酸 - 悠りんさんの作品に酷似してる気がします。特に19話の「歩きづらい」からが本誌にはないくだりです。その他にも似ているところが多々あるのでリスペクトするのも程々になさって御自分のストーリーを書いてください。私はのんのーーさんが考えたストーリーを読みたいです (2018年11月24日 12時) (レス) id: ee7a50357d (このIDを非表示/違反報告)
るー - 顔文字使ってないの良き。 (2018年11月19日 22時) (レス) id: 17e5b43388 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のんのーー | 作成日時:2017年9月19日 0時