かぐや姫は月に溺れて…。(4)

ホラーと人切りはバっと振り向け ページ46

落ち着け。例え致命傷を喰らっても夜になれば治るんだ。振り返るならバッ！だぞ、バっ...！

勢いよく振り返ると刀を振りかざす姿を目が捕らえた。

『あぶなっ！』

隠していた短刀を握り、刃を跳ね返した。三歩ほど距離を取って初めて気づいた。
子供が刀を持っているんだ。その非情な現実に思わずたじろいでしまう。

...せめて、俺は切らせないようにしなくては。そして極力あの子に傷を負わせないように勝つ。

覚悟を決めて飛び込んでいった。刃をギリギリでかわし確実に当てられるところまで近づく。
そして精一杯の力で短剣を振るい、刀を遠くに飛ばした。

しかし刀がダメなら拳でと殴りかかって来る。だがありがとう、体術は専門分野だ。

昔父さんに教わった。やけになって殴りかかってきた子供をどう対応すればいいのか。

飛んできた拳を一旦流してから手首の辺りを掴み、一気に引き寄せ拘束する。難しく言っているがようは抱っこしてやれって話だ。

だいたいこれをすれば戦意喪失するらしい。初対面でハグをしてみろ、こいつヤベェやつだってなるだろ？暴れても体が小さいし抑え込めるから便利だぞって俺も抱きしめられながら言われた時はドン引きした。

この子もかなり動揺しているのか離せの一つも出てこないみたいだ。
暫くすると何が起こってるのか理解出来てきたようで、離せとか言うようになり、腕の中で暴れまわった。正直とても痛い。
しかし、それでも離さないでいると諦めがついたのかおとなしくなった。まじかよ父さん。

ゆっくり離す。もう殴りかかって来る気は失せてしまったみたいだ。

『落ち着いてくれたようで何より』

すると、その子の腹からぐぅと可愛げな音が聞こえた。
バツの悪そうに目をそらしている。

『...おにぎり持ってるけど、食べる？』

飯を食べればみんななかよし→←鬼とか呼ばれてるの多いくない？

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