贅沢な悩みだこと ページ41
『ん....』
朝日に照らされながら目が覚める。昨日そのまま寝てしまったのか、縁側での起床だ。
体内時計的には7時とかそのくらいだろうか?
『起きなきゃ、』
むくりと起き上がり布がかかってることに気づいた。
『松陽さんかな』
後で返しに行こ
「やっと起きたか」
『おはようございます、朧さん』
ん?やっと?
『かけてくれたのあなたですか』
「なんでだ」
『勘です』
うんともすんとも言わないし、やっぱり違うか
すると手に持っていた布をひょいと取った。
「風邪でも惹かれたら大変だからな」
くるくると布を巻き上げ歩いて行った。
「さっさと顔あらってこいよ」
『はい!』
お母ちゃんェ...
♯
特に代わり映えするでもなくご飯の準備を手伝ったり、洗い物を洗濯したりほのぼのとした日々を送っていた。何一つ不自由のない暮らしでかなり日和ってきた。
しかし、一つ悩みがあって...
『なんて呼べばいいんだ!?』
朧さんてあまりにも他人行儀では?弟弟子らしく"兄貴"とでも呼べばいいのか?それはそれでハードル高いわボケ!今まで自分が呼ばれていた分お兄ちゃん♡なんて恥ずかしすぎて呼べる気がしない...
なんかこんなこと考えて乙女みたいに頭抱えて騒いでる自分が気持ち悪くなってきた。急にスンってした。今日は朝から頭が痛いまま夕方まで来てしまったし、治ると思ってたのに。しょうもないことに乱されすぎだ。
『いっそ川に突っ込むくらいの勢いで頭を冷やした方がいいのか』
そうと決まれば近くの川に出発だ!!
_これが、頭痛で深い思考できなくなった者の末路である
♯
朧side
「どこだ...?」
ついさっきまでいた筈だが、どこを探してもいないぞ?晩飯の準備を手伝ってもらおうと思ったが...一人で済ませてしまおう。
調理場へ足を運ばせる。
「あ、先生」
丁度いいし一応聞いてみるか
「Aを見ませんでしたか?」
「それなら川に行ってくると」
「そうでしたか。ありがとうございます」
再び足を運ばせる。しかし、こんな時間に川なんて何を考えてるんだか...
最近何か考え込んでいたが、まさかな。まさか...そういえばここにあいつが笑った顔なんて見たことが無いが...いや、まさか。
とは考えながら足は完全に止まってしまっていた。
ふと、嫌な考えが頭に過ってしまって、それを引き金に歩いていたのとは逆の方向に走り出していた。
「先生やっぱり川に行ってきます!」
どうにか間に合えとそれだけを胸に走った。
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作者名:男主愛好家 x他1人 | 作成日時:2020年11月1日 13時