検索窓
今日:24 hit、昨日:17 hit、合計:8,212 hit

信じてみたい ページ36

真っ暗闇。ひたひたと零れる紅。艶やかに血を纏い、わずかに月の光をうけ照らし出される拷問器具。そのすべてが俺を殺そうとした証。でも死ななかった、死ねなかったし、死んだ方が楽だと知ら思える。
ふと、血でできた水面に自分の顔が映る。かつて両親や妹たちが生きていた頃のにこやかな表情は見られず、瞳に輝きなどお世辞にもあるなんて到底言えなかった。

もうずっと隠し扉の先の牢に繋がれたまま、動けない。でも、だから何なのだろうか。例え動けたとしてもこのぼろぼろの心では途中で死んでしまうに違いない。どちらにしろ、ここから逃げる術なんて.....

「誰かいますか?」

『っ!!』

外から声がする。また地獄が始まるのかとそれこそ亀のように身を丸めて怯えたが、声が柴庭ではないことに気づき恐る恐る声の方に向いた。牢の壁の向こう側に誰かいるんだろうか...

『い、ます。貴方はっ...だれ?』

声が震えてうまく喋ることさえかなわない。

「貴方に助けていただいた者です。覚えているかわかりませんが」

誰なのか思い出そうと記憶の旅を試みたが、思い出すまでに嫌な記憶が呼び起されそうになってやめた。

『何を...しにきたの』

「...助けてほしいですか?」

『?』

何を言っているのかわからなかった。

「私は貴方を助けたい。貴方は、どうしたいですか?」

ずっとわからなかった。この人が誰なのか。でも今わかった。

『貴方はあの時の鬼さん...?』

「覚えていてくれたんですね。あの時は名前を聞きそびれてしまった、いま聞いたら答えてくれますか?」

『え、えぇ。名前は月下Aです』

壁の向こうのあの人は笑ったような気がした。

「A。貴方は助かりたいですか?」

『っそんなことが出来るのですか...?』

「そんなことどうだっていい。貴方がどうなりたいかです」

助かりたい。確かにそうだ。でもそれはつまり、この人を信用するということ。とても難しいことだ。そもそもこの人はあの時の鬼では無いかもしれない。

『一つ。聞かせてほしい。なんで俺を助けようと思ったんですか?』

押し黙る。俺はなぜか、いつまでも答えを待っているつもりだった。

「言葉を借りるなら、"貴方と同じ"だからでしょうか」

確信した。この人になら...
今のを聞いて考える余地など無かった。

『お願いします...助けて下さいっ!!』

きっと、信じていいひと→←血のつながりって関係ないんだね



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.1/10 (10 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
17人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 男主 , 非原作沿い   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:男主愛好家 x他1人 | 作成日時:2020年11月1日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。