血のつながりって関係ないんだね ページ35
もう時間の感覚がしなくなってきて、早数年。今こうして思考できているのが奇跡のようだ。
遠くから二つ足音が近づいてくるのを聞きながら、これから何をされるのかと思うと怖くて仕方がないが、血塗れの体がうまく動かずぐったりとただ横たわっているしかできなかった。
「おじいちゃん、ここに誰がいるの?」
いつもと違う声だった。幼い未発達の声。
「ここには、私の宝物がいるのですよ。咲人。」
そしていつも道理の恐ろしい声。聞くだけで防衛本能が体中を駆け巡る。
でも、おじいちゃん?前に行ってた子かな。咲人って言ってたっけ。
「...少しだけ合わせてあげます」
そう一言いって檻を開けた。咲人と呼ばれた二人が近寄ってきた。
「これが私の宝物。何より大切な私の愛し子。優しく扱って下さいね」
咲人にむかっててを伸ばした。
「た、す...けて,,,!」
この子はまだ人間を残して慈悲をかけてくれるだろうと言う願いだった。
「これ、私の代わりに着けてきてくれませんか」
しかし、そんなわけもなく、取り出された首輪を見て蛙の子は蛙なのかと絶望や恐怖、落胆など様々な感情に襲われた。
「良いの?僕が着けても」
「えぇ、でも優しくですよ。傷一つつけてはいけません」
それを聞き終えると、咲人は俺の方へ進んでいった。
『ひっ...!いやだ、来ないで!』
きっと今の俺の顔は恐怖一色だろう。彼ら二人は笑顔を浮かべているというのに。
咲人は目の前で俺の顔を覗き込んだ。どうにもできずただぎゅっと目を瞑る。
「…僕は咲人。君は?」
...名前を聞いているの?
乱された思考のままぎこちなく口を開く。
『ぇ、と...A...』
「...A。僕の名前を呼んでよ」
何をさせたいのかわからない。でも逆らったらどうなるかわからないから従うしかなかった。
『............咲、人?』
名前を呼ぶと世界一幸せとでも言うように紅潮し、不気味に口元を歪めた姿は柴庭錨の生き写しそのものだ。
「...ふふっ、またね」
そうして戻っていった。今日はそれ以上何もなかった。
ーーー
あんまりかわいそうなのばかりだと文がぐちゃるから止めようね!!!!!!
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作者名:男主愛好家 x他1人 | 作成日時:2020年11月1日 13時