夢から出た幸せ ページ3
Aside
立ち尽くしてしまう。
あんなにかわいくて。
あんなに美しくて。
あんなに優しい蛍が死んでしまって。
いくら会いたいと願っても叶う事は無い。
諦めてしまうのが改善策と言う闇しか無い世界だと思っていた。
なのに。
この子は今ここに居る。
当たり前の様に立っている。
…これは嘘なんじゃないか?
本当は蛍なんて生きてなくて俺の幻覚とか。
咲人からの精神的な攻撃とか。
そっちの方が府に落ちる程不自然な事だった。
A「取り敢えずあがって。」
蛍と見られる女性を家にあげ、ソファーに二人で座る。
A「…本当に蛍なの?」
本音を出す。俺をどうしたっていいが、俺の妹を悪用するのだけは許せないから。
蛍「うん、本物だよ。」
A「嘘じゃなくて?」
蛍「疑っちゃうかもね。でも私は本当に蛍だよ。」
A「父さんと母さんの名前は?」
蛍「雪成と梅緒。」
A「施設に居た時の親友は?」
蛍「リリィちゃん。」
…それくらいは答えられるか。
子守唄はどうだろう?家族で作った歌だ。本当に私は蛍だと言うのなら歌えるだろうし、偽者なら適当に濁してしまうだろう。
A「〜♪…この続き歌える?」
蛍「うん、"光あと引く蛍飛ぶ"だよね。」
完璧に歌えていた。
A「じゃあ、本当に?」
蛍「うん、ただいま。お兄ちゃん。」
その時、今まで抑えていた感情が溢れた。
その衝動の思うがまま、蛍を抱き締める。
A「おかえりっ、蛍…!」
蛍「お兄ちゃんのご飯なんて何年ぶりだろう!」
A「食べちゃって良いからね、蛍。」
いただきますと、さっき作った俺の分の朝ご飯を食べ始める。
当然、こんな事予測していなかったので一人分しか作っていない。それを蛍にあげた。
蛍が美味しそうに食べているを見るだけで俺は幸せだから別に良い。
蛍「おいひい!」
A「こらこら、口にもの入ってるときは喋らないの。」
蛍「はいはい、うふふ!」
A「ふふっ。」
幸せだ。何十年も待ち望んだ幸せ。
今この瞬間が永遠に思える。
…ピンポーン
妙「Aさんゴリラを抹殺するにはどうすれば…え!?」
A「あ、妙ちゃん。どうしたの?固まってるけど…。」
妙「その子、どうしたんですか?」
A「?あぁ。これは俺の…て、行っちゃった。」
蛍「せっかちな人なの?」
A「そう言う訳でも無いんだけど…ま、いっか。」
再び蛍との団らんを楽しむ事にした。
17人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:男主愛好家 x他1人 | 作成日時:2020年11月1日 13時