家族との再開と別れ ページ20
「お兄ちゃん、本当にここを出るの？」
『不安なの？』
「いや、そうじゃないけど…」
そりゃそうか。蛍にとってはここが我が家みたいなものだもんな。
柴庭に不死のことについて聞いた。一応月姫の呪いを応用したとは聞いているが、どんな風に呪いが働くんだと聞いてみると、
「"自分で"調べてみてはいかがですか？」
と言ってきたから、だったらいっそのこと兄妹でこんなところ出ていってやろうと思った。
こんなところ真っ平だ。
「ねぇ。」
と、いう声でピタリと止まる。
『リリィ。どうしたの？』
「…私も、私も連れていってよ！」
最近はリリィに声をかけないようにしていた。アルノーがいなくなって、一番辛そうにしていたから、放っておく方が良いと思っていた。
だが、ここに残しておけば、アルノーたちのようになりかねない。
『勿論だよ。リリィも一緒に行こう。』
「ありがとう…それから、私も"お兄ちゃん"って呼んでいい？」
「それはダメー！」
と、すぐに蛍が反論してきた。
「お兄ちゃんはわたしのお兄ちゃんだから、リリィちゃんは呼んじゃダメだよ！」
なんて言うのだ。
『蛍？蛍はいつもリリィと仲良くしてたいよね？』
「…うん。」
『俺もリリィと仲良くしてたい。俺たちは家族みたいなものなんだよ。俺とも蛍とも、リリィは家族なんだよ。』
「…わかった。でも、一番の妹はわたしだからね！リリィちゃん！」
「うん、ありがとう！蛍ちゃん！お兄ちゃん！」
俺は纏めた荷物を持った。
『…じゃあ行こっか。』
そう言って歩きだし、外に出た。
「Aさん。頑張って下さいね。」
と、そう声が聞こえた。
「柴庭さん！またねー！」
「バイバーイ！」
二人がそうやって手を振る中、俺はあいつを許さないと強く睨んだ。
ーーー
タイトルの家族との"再開"と"別れ"ですが、別れは家族のように思っていた柴庭ちゃんがまさかの黒幕でしたテッテレーしたって意味と、再開は…なんでしょうね。ふふふ。
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作者名：男主愛好家 x他1人 | 作成日時：2020年11月1日 13時
