探る者 ページ15
アルノーがいなくなってからの俺の行動は速かった。あれほど誠実な彼に危害を加え、挙げ句の果てにその命すら奪うなんて…という怒りが、俺の突き動かしていた。
まずわかったこと。アルノーも含めて、ここにいる全員の性が、月や星に関しているということ。
アルノーの姓は"アストリーラ"。これは乙女座になったとされる女神、アストライアから来ているらしい。そして俺の姓は月下。リリィの姓も何か星の神様から来ていた。たしか、双子座の神様だった筈だ。因みにこれはここの図書室にあった本の知識だ。
そして二つ目、ここの子供達は定期的に居なくなる。アルノーもその一人だ。
ただ、その周期があまり安定していなく、一ヶ月の時や、酷いときは二週間程だ。
『これだけじゃわかんないな…』
何かもっと情報は無いかと図書室に行った。すると、なにやら怪しい動きをしている子が一人いた。
俺はその子を暫く観察していた。その子の持っている本は僕がアルノー達の性の由来の特定に使ったギリシャ神話の本と、ここの子供達の名簿だ。
端から見れば、何をしているのかと思うが、俺からしてみればあの子は協力者のようにも思える。俺と全く同じ事をしているようだった。
「…!」
何かに気づいたようで、その場を急いで飛び出していった。俺もその後についていく。
その子はやがて、ある場所にたどり着いた。
『えっ、ここは…』
ここは、例の厠の回転扉だ。この裏で、アルノーが死んでいるのを俺は見た。やっぱりこの子も俺と同じで…?
その子は回転扉の位置をしっかりと把握していた。回転扉を手で押し、そして中に入っていった。バレないように少し間を開けてから俺も中へ入った。
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作者名:男主愛好家 x他1人 | 作成日時:2020年11月1日 13時