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飴でさえ鞭に変わる ページ1

Aside

首輪の記憶を辿る。
そして段々見えてきた。

…暗いな、灯りの一つも無い。

月明かりがぼんやりと照らしたその先には、地塗られた拷 問器具に、腐った肉塊。
この絶望的な景色には見覚えがある。が、視点が違うのだ。

?「おじいちゃん、ここに誰か居るの?」

錨「ここには、私の宝物が居るのですよ。咲人。」

今喋ったのは…声質的には錨、そして錨をおじいちゃんと呼んだ彼は恐らく咲人。しかし咲人の姿は見えない事から、この視点は咲人自身の見えている世界なのだとわかった。

錨「…少しだけ会わせてあげます。」

そう言って檻を開け、中に入った。
それに続く。

錨「これが私の宝物。何より大切な私の愛し子。優しく扱って下さいね。」

その視線の先には、血塗れで転がっている少年が居た。
近づいてみると…それは俺自身だった。

手足を鎖で繋がれ、ぐったりと横たわり、力なくこちらへ手を伸ばしてくる。

A「た、す…けて…!」

胸の内に何か熱い情熱に似たドロドロとした感情に気づく。恐らく恋と言うやつだ。
しかしこれは俺が感じている訳ではない。正直こんな物見せられて吐き気がしない訳が無い。

これは咲人の感情の疑似体験。つまりこの恋心は咲人自身のものであると言う事だ。

柴庭ファミリー恐ろしい…!
父親がどんな奴か見てみたいものだ。

錨「これ、私の代わりに着けてきてくれませんか。」

錨から渡されたのは首輪。俺が着けているのと同じ奴だ。

咲「良いの?僕が着けても。」

錨「えぇ、でも優しくですよ。傷一つつけてはいけません。」

それを聞き終えると、咲人は俺の倒れている方へ進んでいった。

A「ひっ…!いやだ、来ないで!」

恐怖一色に染まった顔を見て、また胸を締め付ける。

優しく首輪を着けた。そして錨には聞こえない声で囁く。

咲「…僕は咲人。君は?」

A「ぇ、と…A…。」

咲「…A。僕の名前を呼んでよ。」

A「…………咲、人?」

その時、今までで一番強い情熱を感じた。
人に愛を与えるのはこんなにも美しい事として、咲人の中には組み込まれる事だろう。
そして、咲人にとっての愛は束縛なのだ。

咲「…ふふっ、またね。」

そこで記憶は途切れた。

灯火の夢→



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設定タグ:銀魂 , 男主 , 非原作沿い   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:男主愛好家 x他1人 | 作成日時:2020年11月1日 13時

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