坂の上の教室で…

雫が十五粒 ページ18

A(幼少期)side

私は、銃を持ったおじさんの元に歩み寄る。


殺気をこめた視線を向けて。


銃は隠してる。怪我をしてる人に向かって、笑顔を作った。


人差し指を自分の目に向け、ゆっくりと閉じる。


―――――目、瞑ってて。


男の人は其れが分かったと云うように、


ゆっくりと目を瞑った。其れを確認してから、


もう一度男の方を向く。


貴「ねえ、此の人は何かしたの？」


銃を突きつけられて脅えていない私を見て、


男は少し不審がったが、一応答える。


――――――――――俺が殺すところを見られた。


路地の奥に目をやると、女の人が倒れていた。


私はヒッ、と脅えた声を出して、俯いた。


貴「異能力『神への願い』落椿(ﾎﾞｿｯ」


ばれないように呟いて、地面に軽く触れた。


バキィ…


地面が割れる。


貴「おじさんは、こーなりたく無いよね？」


ねっとりとした笑みを浮かべ、問いかける。


おじさん「ば、化け物！」


化け物。呼ばれ慣れてるから怒らないよ。


でも、一寸だけ、いらっとした。


銃を抜く。おじさんの目の前に持っていき、


迷いも無く引き金(トリガー)を引いた。


バンッ！


路地裏の中に銃声が響き渡る。


そこに在るのは、年端のいかない少女と、


眉間を撃ち抜かれたモノ、腕に怪我をした男の人、


腹部を撃たれた女性。


貴「目、開けていいですよ」


其れだけ云って、女の人に近寄った。


長い黒髪の、綺麗な女性。白のワンピースが、腹部を中心に赤く染まっている。


服を少し捲る。体内に在る弾丸。


でも臓器は傷付いてないみたいだ。


即座に治療することが必要だろう。


大丈夫。まだ息はある。


貴「ねえ、其処の人。家って近いですか？」


？「え、はい。行きますか？」


こくりと頷く。


貴「私はAです。今度お礼するので、名前教えて下さい」


浅「私は浅野學峰です。其の女性、運びますね」





――――in浅野家

取り敢えず、森先生に教わった方法で弾丸を出した。


戦場で役に立つ、って云われたから覚えておいた方法。


こんなことで役立つとは…覚えておくものだな。


そんなことを考えながら、黙々と血を拭き、


消毒液を染み込ませた綿で、傷口を拭う。


包帯を巻いて女性の衣類を替えた。


服を買うくらいの所持金はあるから。


貴「出来た…」


此の女性どうしよう。マフィアには持ってけないなあ。


私にそんな権力ないし。治療はしたけど動かすのはあれだし…

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