【銀魂】かっこよく生きる為の方法

夏休みばりの休み ページ16

「ーーはぁ」

久しぶりに訪れた甘味処で、一人ため息をこぼす。


休日だと言うのに気が休まらないのは、
助手に半ば脅される形で坂田さんへの気持ちを
受け入れたせいだろう。


一応、私だって大人の女なわけである。
豊富ではないにしろ、恋愛はそれなりに経験してきた。・・のに。なんだ、このたどたどしさは。

これはまるで不器用な初恋である。




(・・大体、気持ち伝えるなんて冗談じゃない)



助手の手前、おどけてみたけれど、
私は別にこの恋を実らせたいわけじゃない。
むしろ一刻も早くこの感情を追い出したい。
やけくそに団子をかじった。








「ーーーあれ？Aさん？」

「ふへぶっ」




しみじみと自分の運命と趣味の悪さを嘆いていた私は、突然の掛け声に、あやうく団子を詰まらせてしまうところだった。

「だ、大丈夫ですか」と続けたメガネ少年は、
確かに、知り合いであった。






「おー、橋下くんじゃん！久しぶり！
どう最近は！相変わらず河童探してるの？」

「・・お久し振りです。万事屋の志村新八です。
一文字もあってないです。あと河童って何ですか」

「ごめんごめん！河童じゃなくて志村くんか！」

「いや訂正箇所違います。河童じゃなくて
橋下くんの方です」




ちなみに河童は見つかったかと問えば、彼は、
探してない、と半ギレで答えた。

・・よく考えて欲しい。世の中の眼鏡は過半数が
同じような顔をしてるわけで。見分けをつけろと
いうほうが無理なのだ。





「今日はお仕事はお休みですか？」

「そんなとこ。新八くんは？」

「・・・今日ってか1ヶ月近く仕事は休みです」

「ほぼ夏休みだね」



買い物袋をさげた彼は、もはや主婦の出で立ちだ。
相談室なるものを営む私だって、こんなに遠い目を
する若者はそうそう見ない。万事屋がいかにブラックな職場なのかがわかるなこりゃ。



(ーーそのブラックの社長に惚れた私って、)





自然ともれるため息は止めようがない。
そんな私を前に、新八くんは少しばかり真剣な
表情を浮かべた。






「・・あの、僕Aさんに聞きたいことが
あるんですけど」

「え、あ、はい。何でしょう」



なんだなんだ。思春期真っ只中の少年がする質問に
まともな物など存在しないぞ。こやつは私に何を
答えさせるつもりなのか。

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