【銀魂】難あり波もあり

対面 ページ26

ー銀時サイドー



あぁ、やはり。
あの時、Aの隣を歩いていた男だ。
警戒心を強めた俺に、そいつは手を差し伸べる。






「ーーはじめまして。坂田銀時さん、でしたっけ」

「はぁ」

「お噂はかねがね」



その後ろ姿の持ち主は、心底明るく爽やかに挨拶を
投げつけてきた。嫌味らしき気配は一つとない。
白い歯や、にこりと笑った際にできる目元のシワに
むしろ好印象を抱くほどだ。

・・くっそ、なんだこいつ。いけ好かねェ。


だが、その人を寄せ付ける柔らかな雰囲気は、
どこかAに似通ったものだった。






(何だ____？)



嫌味の一つでも言われ、ニヤつきと嘲笑を
受けるのではと身構えていた俺は、拍子抜けた。
このメンバーで一体何が始まるというのか。

結局考えても、しっくりする答えは思いつかず、
隣で微笑むAを見やれば、そいつはハッと
したように口を開いた。






「銀さん、この人は昌山慎太郎」



紹介を受けて、男は白い歯を見せて「どーも」と
笑った。ーーいや、ちょっと待て。








(ーーー・・"まさやましんたろう"？)




昌山とは、確かAの苗字ではなかったか。

もしやと思った時には、







「私の兄です」







・・ここ数日の俺の悩みは、一瞬で吹き飛ばされた








(ーーーあ、兄貴だったァァア！)



いや、よかったよ？こいつが不純じゃなくて。
でもほら、なんか俺が恥ずかしいじゃねーかコレ。
浮気を疑ってソワソワして、夜よく眠れなくて？
挙げ句の果てに今日は三つ巴を覚悟してたなんざ。

・・死んでも言えねェ痴態だろコレ。





「すみません。銀さんのことを話したら、
どうしても会いたいというもので」

「そりゃ、妹と結婚する男がどんなやつか、
兄としてちゃんと査定する必要があるだろ」

「気が早いって！」



「・・仲イインデスネ」




なるほど。兄貴ならば、雰囲気が似ているのも
納得だ。事情を把握して再び見てみれば、
確かに顔の作りも似通っている気がした。







「いやぁ坂田さん！俺は妹の夫は新人類がいいと
思ってたんです本当は。宇宙婚って知ってます？
たった今俺が名づけたんですけど、画期的だと
思いませんか？」

「は？」

「でも、今お会いして確信しました。
坂田さんになら、妹を任せられる！」




そういや、前に一度だけ、Aからこの兄貴に
ついて聞いたことがあった。

この平凡な妹からは考えられないほど、
ぶっ飛んだ奴なのだと。

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