【銀魂】難あり波もあり

回し者 ページ27

数日前に、兄さんが訪ねてきた。アポなし突撃訪問は、どうやらこの人の十八番らしい。毎回毎回驚かせてくれる。




「きっと新人類も、自分たちの居場所が掴めず、
正体を明かすタイミングをはかってるんだと
思うんですよ。本当は、俺たち人間が彼らを
探し当て、手を差し伸べてあげるべきなんです」


「・・ヘェ、ソーデスカ。てかオニーサンさ、」
「そして！いずれは共存を目指して___、」




銀さんの気持ちは、痛いほどわかる。
そうだよね。聞きたくないですよね。今すぐ家から
出て行きたいですよね。そのお花畑な頭、花瓶か
レンガでかち割ってやりたいですよね。

後悔と無心が織り交ざったような何とも言えない
表情の銀さんは、ーーーさながら、かつてこの兄と
寝食を共に送っていた私と両親の気持ちだろう。


冗談ならまだストップのかけようがあるが、
この人の場合、本気の本気。ちょー本気。







(・・だから会わせたくなかったのに)


ゲームなどを開発しているエリートにしては、
ぶっ飛びすぎている兄を攻略する方法を、
私はいまだに見つけられていない。





「・・ごめんなさい、銀さん」

「なかなか個性的でウゼェにーちゃんだな」
「ド正直ですね」

「さっきから呼びかけてんのに新人類への愛が
溢れ出てんだよ。おたくの兄貴何なの？
新人類からの回し者なの？」

「一応、普通の公務員です。・・今のところ」



確かにうざいかもだけどそこは個性的と濁したままにしておいてほしかったかも。まあとにかく、
この状態では、銀さんは家に帰れない。
私も眠れない。悪影響しかない。





「ーーー聞いてますか坂田くん！」
「いやそれ俺のセリフゥウ！」




人の話を聞く気がないというよりは、
自分の世界に入りすぎて人の声が聞こえていない。

よく社会でやっていけるもんだなと毎度会うたび
思うのだが、どうやらそれなりに優秀らしいのだ。
全くもってこの世の条理はわからない。





「おっといけない！話過ぎてしまった！
・・いやー、すみません！俺の悪い癖だ！」

「兄さん、銀さんも忙しく・・はないですけど、
いろいろありますから、手短に」

「オイ何でお前今勝手に俺を暇人認定した」

「事実を捻じ曲げる気はありません」





兄さんはそこで一度お茶をすすり、
「さて、妹のことなのですが、」と。

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