【銀魂】難あり波もあり

キャラ変更？ ページ4

ー銀時サイドー


穏やかな休日の午後。
特に依頼もなく、だらだらとあくびを生産するだけ
だったのだが。




「ーーえ、なに」

「こんにちは坂田銀時さん」

「・・・気持ち悪ィんだけど」




インターホンを鳴らし、玄関の前に現れたのは、
様子がおかしい昌山Aだった。挙動不審というか

警戒して一歩下がった俺を見てか見ずか、
静かに一礼したそいつは次に、
「本日はお日柄もよく、」なんて続けていく。





「・・オイオイ、ついに平凡脱出に疲れ果てて
キャラ変更か？」

「少しお時間いただけますでしょうか？」




どうにも、こちらの言葉は聞こえていないらしい。
反応が返って来ず、一方通行だ。

肩を落とした俺に、そいつは一度首をかしげる。






「・・まあ、とりあえず入___、」
「あ、いえ、ここでいいのです」

「はあ？」




一体全体何を始めたのやら。
そいつはわざとらしい慎ましさを纏ったまま、
そそくさと懐を探り出した。








「ーーどうぞ」



しばらくして出てきたのは、一枚の紙切れ。
カラフルで派手に色付けされたそれには、
最近女子どもが騒ぎ倒しているスイーツ店の名が
連ねられていた。常に行列ができている人気店。

いつぞやにその行列に代わりに並んで欲しいという
依頼が来たこともあったな。・・とまあそこまで
思い出した俺は、再び紙切れに目を落とす。






「・・何これ」

「明後日お時間ありますか？」

「は？」

「スイーツバイキングです」

「どうしたんだよ突然」

「好きですよね」

「まあ好きだけどよ」

「暇ですよね」

「そうだな」

「では行きましょう」

「・・・重症だな」





聞こえてないというか、聞くまいとしているようだ

とにもかくにも、こいつはこのスイーツ店に
俺を連れていくつもりらしい。恐らくこの紙は
予約のチケットのようなもので、明後日一緒に
どうだろうかと誘われている、と。






「ーーそれでは、また明後日」



日時、集合場所。
そこまで告げて、Aは踵を返す。

始終上の空だったその女に、不信感と少しの恐怖を
覚えつつ。







「・・ま、いっか」




ただでスイーツ食べ放題とはなんたる幸運か。
糖尿病がどうとか気にしてる場合ではない。

あれだ。人の厚意を無下にはできねーしな。
病院のヤブ医者も納得するだろ。



ひさびさに腹一杯スイーツに舌鼓をうつことに
期待を募らせながら、リビングでダラけるガキどもに察されないようにと顔を引き締めた。

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