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たった数秒 ページ15

下駄をふみ鳴らし、まだ肌寒い江戸の町を歩く。

笠を深くかぶり白い息を吐き出しながら、
江戸の町を見渡した。曇天の広がる今日は、
その天気のせいか、人が少ない。




前のように人にぶつかることはないけれど、
何だか、それが不思議と虚しかった。






(ーーー十四郎が、守っている世界)



いや、彼はヒーローでも何でもないんだから、
それは少し言い過ぎかもしれないけど。







「・・さて、と」



これからどうしようか。

お金なんてないし、知り合いもいない。
フラフラとアテもなく歩き回ったって、
最後は野垂れ死が関の山。


そんな終わりは嫌だからこそ、あそこから抜け出したってのに。やはり成り行きなんて信用ならない。

無計画は無謀だっただろうか。





(・・いや、)



けれど、何だかすっきりした気分だった。

無理をして、波乱を巻き起こす人生なんて
馬鹿馬鹿しいと思っていた私だったが、

ーーーそんなものは、自分の暮らす世界への諦めと
光に対する羨望から目を背けるための強がりでしか
なかったのだ。


本当は、・・こうして眩しい光の下で、
心の底から笑ってみたかった。




そのうち、私の逃亡に気づいた水岡が、
意味を察して消しに来る。もしかしたら、警察に
情報を売るために逃げ出したのでは、なんていう
馬鹿げた疑いをかけられるかもしれないし。


それはそれ。あの世界から解放された今こそが
私の求めていたものなのだから。





あぁでも、どうせ死ぬのならもう一度。
ーーーたった数秒でもいい。あの人に会いたい。






ポツリポツリと、雨が降り出した。
私の頭のてっぺんに降り立った雫が、
少しの冷たさを与え、すぐに消えていく。








「・・雨だね」



着替えなんて持ってないし、
どうしようかな。


今日の寝床を探すテンションだったけど、
ひとまず雨宿りが先決のようだ。

鎖なしの狂犬→←人知れぬ決心



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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎   
作品ジャンル:アニメ
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シュシュ☆☆(プロフ) - 燐さん» ありがとうございます!最後まで読んでくださり、感謝ですっ!! (2018年9月10日 21時) (レス) id: ad40a3ccd1 (このIDを非表示/違反報告)
- 切ない感じからハッピーエンド、感動しました! (2018年9月8日 17時) (レス) id: 6e4e502025 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 蜜柑さん» ありがとうございます!無事完結でございます!そんなお褒めのお言葉をいただきまして、私も言葉にならない喜びに震えております…!読んでくださり、ありがとうございましたっ! (2018年1月26日 22時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - またコメ失礼します。完結おめでとうございます!今回も、なんか言葉にできないけどすばらしくすばらしかったです!!(語彙力が…)シュシュさんの小説大好きなので、これからも新作待ってます!ぜひともよろしくお願いします!! (2018年1月22日 21時) (レス) id: 6a812c0c50 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ミドリムシさん» ありがとうございます!シリアス、確かに多いですね!クールでかっこいいイメージがそうさせるのかも…?足を運んでくださり、本当に感謝です! (2018年1月22日 14時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月14日 12時

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