【銀魂】光に焦がる虫

救世主？ ページ17

さて、これからどうしたものか。
そう考えて数時間後。

ようやく雨も上がった空の下で、







「ーーーなんだい、あんたたち」



見覚えのない来客に、眉をひそめていた。


無言で私を取り囲む数人の男たちは、
「Aだな」と。私の名前を口にした。
どうにも、無差別なナンパではなさそうだ。







「知らない人に名前を聞くときは、自分から
名乗るってのが礼儀じゃなかったかね」

「一緒に来てもらおう」




問答無用。私の意見など聞く気もないらしい。

あいにく人気がないここら一帯では、
助けすら期待することはできそうもない。
つまり、自分でどうにかしろってことだ。







「・・あんたらがどこに私を連れて行きたいのかは わからないけど、ーーようやく決心がついたんだ。
もうどこかに閉じ込められるのはごめんだね」




腕をつかもうと近寄って来た男を、するりと避ける

視界に広がった道を、大通り目指して駆け出した。
背後からは「待て！」の怒声。
諦めてくれる気はないようで、私の後を連なる男達


振り返る暇もなく、ひたすら足を動かした。
息は切れるし、酸欠で視界は霞むし。

マラソンなんて大嫌いだ。


着物の裾に、踏んづけた水たまりの水が跳ねた。
乱れるのも汚れるのも気にせずに、ひたすら走る


こみ上げてくるものをグッと我慢した。
唇を噛んだ。ーーあぁ、私は一人だ。

無力で、無知で。







「・・手こずらせやがってっ、」

「ッ、」



ずっとあの部屋で生活していた私が、
男の人の体力に敵うはずもない。

いとも簡単に掴まれた肩。振りほどこうにも、
非力な私には何もできなくて。




(・・水岡の手下、とか？)




心当たりがあるとすればそれだ。
警察は、水岡信彦について調べ始めた。

きっとその情報が、水岡の耳に入ったのだ。

いやいや、早すぎ。
もう少し浸らせてくれたっていいじゃないか。
最愛の人とのほんの数秒くらい、くれたって
いいじゃないか。


そんな悪態も、上がった息のせいで
言葉にすることもできず。強引に体を引かれるまま
私は一歩、踏み出した・・そのとき、









「ーーーオイオイ何やってんの？お前ら」




間延びした声。
突然ぬるりと現れたその声の主は、
私を抑える男達を、軽々となぎ倒していった。

そうして、手についた砂を払ったその人は、
眉をひそめて、ケッ、と。

損な性分→←鎖なしの狂犬

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