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嫌な予感 ページ12

空っぽだ。あの人が消えたこの部屋には、何も残っていない。
ただくゆる紫煙の中に、その声が、顔が、匂いが、

ーーー悲しく現れては消えていく。









「A、どうしたんだ?元気がないじゃないか」

「・・水岡さんは、今日は随分上機嫌だね」




傍に置いた刀。ーーそれを愛おしげに撫でた水岡信彦は、怪しげな笑みを浮かべる。

薄暗がりに浮かび上がったその男の表情は、
余計に不気味に見えた。








「私は、失敗は次に活かすことにしているんだ。
・・先日の大友の件、敗因がわかった」


「敗因?」




やけに機嫌がいいと思えば、やはりそんな話か。
大友総二郎は、十四郎たち警察が解決したでは
ないか。落ち度に関しては、きっといろんなところ
にあるんだろうし。


特に興味もないその話題に、笑みを浮かべた私の
耳元で、水岡は小さく囁いた。









「ーーーお前がバラしたんだろう?A」





ひんやりと背筋を這う寒気。
まるで突き刺さるようなそれは、
一瞬で私の体を固めた。








「・・何のことだい?」




ごくり、生唾を飲み込む。
一気に乾いた喉を潤すまでには至らず。
頬には冷や汗が伝う。平静を装うことは
できているのか、もはやわからなかった。





「どうやら、ここに少し前から警察が
出入りしているとの情報を得てな。何でもそいつは
お前の常連だと言うじゃないか」


「・・・・さてね。自分の商売明かす客なんて、
少ないからさ。いちいち覚えてないよ」


「俺たちの情報を集めるために
ここに通っていたんだろう。全く、聡いことだ」




言葉の割には、余裕のある態度。
その様子に、私の焦りも大きくなっていく。

この男については、心のうちが読めない。
そこがまた、警戒心をあおった。









「ーーー俺のことまで喋ってねぇだろうな?」


「・・、まさか。そんなわけないだろう」




口調の変調。
ぎらついた目に睨まれる。

私の腰をがっちりホールドしたそいつからは、
逃げる道がないらしい。観念した私は、ーーさて、
どうしたものか。








「・・お前、どのくらいの期間でその警察の男と
会っていたんだ?」


「え?」

「いくら調査のためとはいえ、何度も顔を付き合わせた女に、情がわかないはずがないよなぁ?」




何が言いたいのかわからなかったが、怪しげな笑みを浮かべるその男からは、いい予感など感じられず









「ーーもしもの場合は、お前にも協力してもらう」

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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎   
作品ジャンル:アニメ
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シュシュ☆☆(プロフ) - 燐さん» ありがとうございます!最後まで読んでくださり、感謝ですっ!! (2018年9月10日 21時) (レス) id: ad40a3ccd1 (このIDを非表示/違反報告)
- 切ない感じからハッピーエンド、感動しました! (2018年9月8日 17時) (レス) id: 6e4e502025 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 蜜柑さん» ありがとうございます!無事完結でございます!そんなお褒めのお言葉をいただきまして、私も言葉にならない喜びに震えております…!読んでくださり、ありがとうございましたっ! (2018年1月26日 22時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - またコメ失礼します。完結おめでとうございます!今回も、なんか言葉にできないけどすばらしくすばらしかったです!!(語彙力が…)シュシュさんの小説大好きなので、これからも新作待ってます!ぜひともよろしくお願いします!! (2018年1月22日 21時) (レス) id: 6a812c0c50 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ミドリムシさん» ありがとうございます!シリアス、確かに多いですね!クールでかっこいいイメージがそうさせるのかも…?足を運んでくださり、本当に感謝です! (2018年1月22日 14時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月14日 12時

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