【銀魂】棘を包んだ花

絶大な信頼 ページ27

ー沖田サイドー




他愛もない会話を紡ぎながら、最早何個目か
わからなくなったミカンの皮をむきながら、
俺はふと一つの疑問に行き着いた。






「ーーーそういや、今日のことといい、あんたの
とーちゃんはよく許してくれましたねィ」

「え？」

「しかもタクシーで」



そんなことかとでもいうように
「あぁ」と声を上げたA。

俺にはてんでわからねェが、男親ってのは
一人娘を重宝するもんだ。こいつの話から察するに
相当な過保護だというし、尚更だろう。


まさか黙って抜け出してきたわけじゃないよな。
そんなにグレてねーよな。

俺の危機をよそにそいつは呑気にお茶を啜った。






「・・その点に関しては何の心配もないわ。
父上にはあなたのことを含めて全てお伝えしてる。
私の気持ちについても、ご存知よ」


「おっと、思ってたより話は進んでるみてェだ。
ってこたァ俺の首もそろそろあぶねーか」

「そんなわけないでしょう。父上は尊大なお方。
人を貶めるようなことはしないわ」





絶大な信頼だ。ーーまあ、こいつの親父、つまり
現官僚長の人柄については小耳に挟んだことがある

確かに、どれもこれもいいものばかりだった。







「沖田、あなたは真選組が好きなのよね」

「何ですかィ、急に」


「なんとなく気になったの」



「・・・まあ、そうですね。ここは俺の居場所だ」





うるさくてむさ苦しいが、それなりに楽しく
のびのびとやっていけてる。






「そう、ーーいいことだわ」




その質問にどんな意図があったのか、
Aは"なんとなく気になった"といったが、

そんな風には見えなかった。

俺の答えを受け、どこか思いつめるような顔を
見せたそいつは、今度はそれを振り切るように
笑みを浮かべる。








「また遊びに来るわね。事前に連絡はしてあげるから、都合はつけておいてちょうだい」

「尽力しまさァ」





一番隊が先陣切らなきゃならねェ仕事以外なら、
何とか都合はつくだろう。

最後のみかんの粒を口に放り込み、
「そういや」と、次の話題へ切り替えた。

恋慕→←立つ腹なし。

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