【銀魂】棘を包んだ花

念には念を ページ36

舞い上がる煙の中、
近距離で聞こえる犯人の咳。

視界は煙が揺れ、何が何だかわからない。

ただ、少し吸い込んだ埃で、私も咳を数回。









「ーーげほっ、・・な、んなんだ！？」





静かで穏やかな夜の空を引き裂くような、
すごい音と爆音だった。

麻痺していた耳が正常な機能を取り戻しつつある
私は、・・かすかに、外に数人の話し声を捉えた。









「ーーーいやあ、的がデカけりゃ命中率も
上がるってねィ。おかげで久々にスカッとする破壊ができましたぜ」



「・・あっ、」





埃と煙が交錯する中、
カツコツ、と軽い足音が聞こえて。

颯爽と現れたその見慣れた姿に、息を飲んだ。









「ーーー・・沖田、」

「よお、今日はまた奇抜なセンスの服装ですねィ」





私の姿に、肩をすくめてそんなことをいう沖田は、
いつも通り、気の抜けた表情と口調で、
私たちの前に仁王立ち

肩に抱えられた巨大な筒状の武器に、
先ほどの惨劇の意味を知った。


こちらはというと、下着が見える現状に、
慌てて着物の合わせをひいた。







「幕府の犬・・ッ、なんで、」

「滝峰家の防犯システム、知ってるかィ？
ありゃ停止するには決まった手順があってな。
それ以外の不自然な中断があったら、自動的に
警察に通報が入るようになってんでィ」






そうだったのか、と密かに私まで驚いたことは
秘密にしておこう。さすがは心配症の父上だ。

念には念を、というのは口癖でもある。





「ーーーんでまあ、そんなネタバレは俺にとっちゃ
どうでもよくてな。・・そのじゃじゃ馬、
返してもらうぜィ」




"観念しな"






そうして彼の腰元から抜かれた切っ先が
男の喉元で止まった。

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