【銀魂】棘を包んだ花

お節介焼き ページ15

ー沖田サイドー






「ーーそういやお前、押し花にゃ飽きたのかよ」



見廻り中、相変わらずの寒気を体に受けながら
進む道の途中で、何気ないように声をかけてきた
土方さんの言葉に眉をしかめる。




「・・ありゃ別に趣味にしたってわけじゃ
ありやせんぜ」

「そいつァ残念だ。風情のある趣味でもできりゃ
少しは丸くなると思ったんだがな」


「人のこと言えるんですかィ、あんた」





そいつの口から無限に吐き出される副流煙。
それこそ所帯を持てば自分の健康と相手方の健康を
考え、その白い棒を投げ捨てられるだろうに。








「ーーーそんなに、滝峰Aが離れねェか」


「・・何の話ですかィ」

「まさか、誤魔化せるとでも思ってんのかよ」





呆れたようにため息をついた野郎を
かろうじて睨みあげた。もちろん、戸惑いを
隠すためのその行為が、土方に効くはずもなく。






「普段感情がわかりにくい分、出ちまえば
すぐわかるんだよ。ーー不本意にも、テメェとは
何年もの付き合いだからな」




そこまで隠そうとしていたわけではないが、
バレないようにとは気をつけていたはずだった。

至極自然に。様子がおかしいとは思われていた
ようだが、・・まさか、Aに関連していると
いうことすらバレてしまうたァ。







(ーーー俺も、詰めが甘ェ)







「やれやれ、年取ると勘繰り深くなっていけねェ」

「ふざけんな、まだまだ若いわ」




仕事に集中するならば、どうでもいいんだ、と。
そんな上辺だけの言い訳を並べた土方さん。

特有のお節介焼きが出ていることに、
自覚はねーんだろうか。






「ま、ようやくお前にも感情が湧いたって
ことじゃねーか。人間に近づいたな」

「元から純粋無垢な人間ですがねィ」

「どこがだ大魔王。完全に実家は魔界だろ」





ーーーそういえば、・・あの押し花は、
あいつに無事届いただろうか。

もしかしたら、手元に行く前にゴミ箱へと
投げられているかもしれないが。


ただ、憂鬱そうに屯所を出たあいつの顔が、
少しでも和らげばと。らしくもなくそんな想いが
俺の胸をよぎったということは、

・・さすがに、土方にも知られていないだろう。

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