検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:75,699 hit

ページ1

ー沖田サイドー


事件の進展を告げた翌日。
いつもならば、外に連れて行けとねだり始める時間

俺は、慣れた廊下を進み、Aサマのいる部屋の
前で足を止めた。


廊下に面した中庭。そこに腰掛け、
プラプラと宙に浮いた足はそのままで
ぼんやりと遠くを見据える姿に、ため息をついた。







「ーーー何してんですかィ、こんなとこで」


「・・晴天ね」





俺の問いに答える気はないらしく、
マイペースに喋り出したそいつに近づいた。

ここ最近何やら考えているらしかったが、
昨日の一件でさらにそれは深まってしまったしい。






「・・・物思いにふけるのははかまいやせんが、
あんたは命狙われてるっつー危険があること、
忘れちゃいけませんぜ」


「そんなもの、父上の杞憂よ。みんな私に興味など
これっぽっちもないのだから」


「念には念をってやつでさァ」





風で舞う髪が、彼女自身の頬を撫でる。
そばに置かれた携帯電話が、ピロリンと鳴った。

ぼんやりとしていたAサマは、その受信音により
はっと我に返ったようで。






「・・・父上からメール。ーーー"事件は順調に
解決に向かっている。だから心配するな"、って」

「そうかィ」




こいつは本当にここを去るのだろうか。

ーーー最初は、護衛など面倒で。
挙句対象は気位の高い箱入りお嬢様。

どうなることやらと肩を落としていたというのに。






(・・これじゃまるで、名残惜しいみてェじゃねーか)






どうにも、こいつがいなくなって、
すっきりできそうにないのだ。

ただ、普段の生活に戻るだけだ。朝起きて、
仕事をさぼって、土方の説教をテキトーに流す。


そんな平穏な生活に戻れるはずなのだ。

振り回されることも、イラ立たされることもない。




ーーーそれは、俺が本来望むもののはずだ。




Aサマも、どこか表情を曇らせて、
手に持っていた携帯を静かに置いた。









「・・・なんですかィ、その花」

「え?」





指差した先には、そいつが置いた携帯。
画面はすでにトップへと戻っており。

そこに大きく現れた白い花に、ふと目が止まった。


純白な白。小ぶりな花が、青々と茂る葉の中で
揺れていた。ーーああ、まるでこいつみてーだと、
俺の顔を見上げるその姿に思いが募った。







「ーーーああ、これ。私にもわからないのだけれど
いつぞやに見つけたものよ。・・もう一度出会って
みたいものね」



慈しむような目が、画面に向けられた。

設定→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (172 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
174人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , ツンデレ   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

シュシュ☆☆(プロフ) - ミズキさん» ありがとうございます!お忙しい中、こうして足を運んでいただけることが、本当に感謝でいっぱいです!楽しんでいただけていれば嬉しいです! (2018年1月23日 18時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
ミズキ - 完結からかなり時間が経ってしまい、失礼ながらコメントさせて頂きます。夢主ちゃん可愛かったです!初めて真撰組に来た時と比べて性格も成長し、沖田君とも無事結ばれ・・これからも二人のほのぼのとした幸せが続く事を願っています(笑)新作も頑張ってください! (2018年1月23日 16時) (レス) id: d90ef8a117 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございますっ!ほのぼの系目指してたのでそういっていただけて嬉しいです!最後までお付き合いくださいまして、本当に感謝です! (2018年1月7日 8時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 少し遅くなりましたが、完結おめでとうございます!!なんといっても夢主ちゃんが可愛らしくて好きでした!沖田さんとの掛け合いにもほのぼのしました!素敵なお話をありがとうございます!お疲れ様でした! (2018年1月6日 22時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます!無事完結です!2018年、いいスタートを切れればと思います!2017年は、応援ありがとうございました! (2018年1月5日 19時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年12月9日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。