【銀魂】困惑必須の受愛物語

余裕と優雅さ ページ4

団長の追撃がない日というのは、比較的平和である。今日は、高杉さんが来るとかで、朝から船艦内は多少のざわつきを見せているようだった。

窓の外には、私たちのものとは違う船が一隻。
あれが鬼兵隊か、なんて考えながら。





「でも、まさか私まで会うことになるなんて」




団長から直々に「会ってみろ」と命じられたのはつい昨日だ。もちろん、とことん嫌な顔を
して見せたのだけれど、・・まあそんなものを
あいつが汲み取ってくれるはずもなく。


ーーー今現在、高杉さんと団長の待つ部屋の
扉の前へ、到着したところだ。







「・・面倒な人じゃありませんように」




まあ、あのクソ兎と付き合うような男だ。
普通だとは思っていないけど、ーー幾分かは
マシであってほしい。


そんな願いとともに、私は自動扉を開けた。









「ーーーA、オハヨウ」

「おはようございます、団長」




相変わらず、ーーいや、いつもより少し弾んでいるらしいそいつに挨拶を返し、そして、






「お初にお目にかかります、高杉さん。
ここで秘書をしている、Aといいます」




視線の先には、団長の横で腕を組む男。
キセルからのぼる紫煙が、ゆらりと燻る。





(ーー左目、)



包帯が巻き付けられた顔の左半分。
・・・残った右目は、独特の光を放っていた

その光が、私に向けられ、彼は「ほぉ、」と。
口角がゆっくり、つり上がった。




「・・なんだ、神威。この女がテメェのいう
お気に入りってやつか」


「なかなかいい女だろ」

「随分気の強そうなツラァしてるじゃねーか。
テメェがまさか、かかあ天下をご所望たァ
意外なこった」




「・・・あの、お言葉ですが」



この野郎共の会話を、黙ってニコニコ聞いて
いられるほど、私の心は広くないわけで。

ムッとしてしまえば、客だろうが男だろうが
物申してしまうのが私だ。第一、団長とつるむ
友人に遠慮など不要なのだ。







「ーー私、そのクソ兎とは上司と部下以外の
何者でもありませんので」




きゅっと口元を結ぶ。女だからといって
なめられたらおしまいだ。ここは、強気で。

この男所帯で生き残ってきた実力、見せてやる







「ーーーおい、クソ兎だとよ」


「素直じゃないのさ。カワイイだろ？」

「ククッ、・・そうだな」




予想以上に肝が据わった女だ、と高杉さん。
紫煙とともに吐き出された言葉は、余裕と
優雅さを感じさせた。

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