【銀魂】困惑必須の受愛物語

満更でもない ページ27

朝、ーーそう、朝だ。
部屋の窓に見える青空で、改めて実感する。


地球では、朝昼晩がはっきりわかるのだ。







「ーーー何だ、早起きだな」


「・・あなたが遅起きなだけでしょう」




隣には、まだ眠たそうにあくびをする団長。

同じベッドで、下着しかつけていない互いの体から
昨晩、船に戻ってから何があったかは、各々想像に
お任せするとしよう。






(ーーそれにしても、・・やってしまった)




確かに、私は団長に好意を抱き始めていた。
それは認めよう。・・だがまさか、ここまで急進展してしまうとは思っていなかった。

ノリとテンション、ついでに若さとは恐ろしい。



多少の引け目と恥ずかしさに、私は何とも言えない
表情で隣の男を見やった。

早く起こされたにもかかわらず、心なしか、
すっきりしているようで。上機嫌がうかがえた。






「さて、既成事実も作ったし、これでAは
俺から逃げられないネ」

「私がいつ逃げるなんて腰抜けた行動とりました？」




残念ながら、私は常にこいつと戦闘体制である。
喧嘩腰である。昨晩だって、何度蹴りまくったか。







「だってさ、やっぱり気に食わないンだよね。
オトコと飲んだってのが」

「・・別にそれ以外に何もないですよ」


「今すぐその俺のマーキング見せつけてきてヨ」
「ふざけんな」




てか、そうだった。ーーふざけんなって話。





「こんなとこにつけたら、副団長に見つかるじゃ
ありませんか。・・後先考えない行動は控えて
もらえませんかね？」




首元。ギリギリ、襟で隠れるか隠れないかの位置。
派手に咲いた花が、見れば見るほどよく目立つ。




「阿伏兎にバレたって差し支えない。
奴は俺がお前に惚れてることも知ってるし」

「そういう問題じゃありません。私は妙な詮索を
されるのが嫌なんです」


「なら、そう伝えておくヨ」



「・・・ハァ」




何を言っても無駄だ。この男には。

のんきなヘラリヅラは、相変わらず私の神経を
逆撫でしまくるけれど、ーー少しは、愛嬌があるように思えてきた。






「似合うね、やっぱり」

「・・・どうも」



私の頭で揺れる白い花に、満足げに笑った彼は、
「ーーんじゃ」と。






「オハヨウのキス、する？」
「どこでそんなサムイ知識仕入れてきたんです？」






けど、ーーー満更でもないんだ、私は。
黙って目を瞑るあたり、誤魔化しようもない。


地球で迎えた朝、二つの唇が小さく触れ合った。





fin.

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