【銀魂】困惑必須の受愛物語

オレンジ ページ13

「・・・何なんですか、改まって」



いつもならば、遠慮など皆無だというのに。

容赦無くズカズカ人の中に入ってくるような奴だ。
そんな奴が改まるなんて気持ち悪いにも程がある





「いやさ、最近お前、"血生臭いから近寄るな"って
言わなくなったなと思って」


「ッ、は？」





団長の言葉に、思わず押し黙る。
ーーーそういえば、なんて心当たってしまうところが何とも不本意だ。・・が、実際彼が言っている
ことを否定することもできないらしいのだ、私は。





「俺はもう、臭くなくなったわけ？」


「それ、は」





臭くなくなった、か。ーーそんなことはあり得ない

だってこいつは、相変わらず戦闘狂のバカ兎。
以前、私の鼻についていた時と何も変わっていない


・・なのに、私は。



ふと見ると、団長は私の半径1メートル以内にいる。
近寄るなと枕を投げつけていたはずの距離だ。







(ーーー何も感じないってつまり、)




あり得ない、でしょ。
私は夜兎がきらい。こいつなんて、余計に。






「で、どーなの？A」

「ッ、・・えっ、なっ、」



頬に、大きな手が添えられた。
やけに暖かくて、ごつくて。ーーこころなしか、
少しの安心感も加わって。


近づいて来た瞳が、優しげにこちらを見つめている

それを見てしまえば、なんだか、嘘なんてつけそう
もなかった。








「何でかは、わかりませんが、ーー気にならなく、
・・なりました」




丸く青い瞳と、視線が交差した。
整った唇が開き、「へぇ」と、薄い声を漏らした。







「本気でオトすって言ったもんネ。
有言実行まで、あと少しってわけだ」


「・・調子に乗らないでください」





あぁ、もう。思い出してしまった。ーーキス。

こんな奴に、いたずらに翻弄されるなんて
私らしくないじゃないか。






「ま、俺のこと好きになったらいつでも言ってヨ」

「仕事にお戻りください！！」





これ以上、この距離で顔を合わせていると、
きっと変なボロをだしてしまう。

唇を結び、頬に添えられたままの手を払いのけた。


団長は、特に何も言わず、しばしの沈黙が訪れた









「ーーーんじゃ、俺はこれで」






なぜだか、「え、」と不満めいた色が乗った疑問が
小さく口からこぼれ落ちていた。



やけにあっさりマントを翻し、私に背を向けたそいつの、揺れる三つ編みが電灯の光に
やけに映えていて。

そのオレンジが消えるまで、私は呆然とその後ろ姿を見つめていた。

犯人は→←悪気を持って

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