【銀魂】不安定少女と鬼

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『ーーそういう男性には、着流しなどいかがですか？』




アクセサリーのようにかしこまってないですし日常生活でも使えますよ？おしゃれで安価な
ものも、最近たくさん出てますから、と。



にこやかに答えた店員に、
ひどく納得した自分を思い出す。

非番の日は屯所でくつろぐか、特に予定なくぶらつくことが多いと言っていた土方は、最近の
若者に流行る凝ったアクセサリーなどのしゃれた類には興味ないだろう。そりゃまあ、贈れば
身につけてくれるだろうけれど、・・それでは
ダメなのだ。



ーーーそういう点で言えば、気兼ねなしに使える着流しはぴったりだと思った。







「・・お前、何で今日が誕生日だと知ってる」


「沖田サンが頼んでもないのにベラベラと」



「・・・なるほど。全てはあいつの計算か」

「何の話」



いやこっちの話だ、と。そこで一旦話題を切った土方は、静かに紙袋を見つめた。

私が持つには違和感しか感じないその上品な
色合いの袋は、土方の大きな手の中だと、
小さく見える。






「ーーー開けるぞ」

「は？・・今？」




めっきり口数の減った土方は、私の問いかけを
無視して、紙袋から中身を取り出した。
透明の袋で丁寧に梱包された男物の着流しは、
深緑を基調とした、シンプルなデザイン。

自分のセンスに自信があるわけではないが、
ーーー何となく、この着流しをきた土方が
想像できたのが決め手だった。


いまだ黙ったままの土方の表情からは、感情が
読み取れない。一抹の不安を抱き始め、思わず
口を開いた。







「・・・好きじゃない色だった？」



いつも落ち着いた色を好む土方だ。
深緑は、もしや鮮やかすぎたか。






「いや、ーーいい色だ」

「ッ、」



けれどそんな不安は杞憂に代わり。
まれにみる優しげな笑みが、私へ向けられた。






「・・・・ありがとな」

「まあ、一応、何か贈らなきゃって、」




ーーー次の瞬間、抱きすくめられた私の体は
苦しくなるほどに締め付けられた。
もう何度も経験しているものなのに、今日は
なぜだか、ーー少し特別に感じて。


らしくないことをしたせいだろうか。
あれほど心臓を高鳴らせたのはいつぶりなのか
思い出すのも難しいほどに、最近は私も強くなっていたらしい。




(・・やっぱ、)



私を変えるのはいつまでもこの男なのだと、
不本意な確信を得た私は、少し緩んだ腕の中
胸ぐらを掴んで引き寄せて、密かな仕返し。

小さく、キスを落としておいた

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