【銀魂】不安定少女と鬼

一歩踏み出した ページ28

ー土方サイドー



「いつまでもぐずぐずしてっと、気になる
あの子は他の野郎の元へ行っちまいますぜ」

「気になるあの子ってなんだよ」



「まあとにかく、早く結論出してやんねーと、
あちらさんも次には進めねェったこったィ。
ったく、野郎の方が優柔不断たァ情けねェ」





答えを出す、と。そんなことを勢いで
言っちまったことを思い出した。

電話で結果を報告した時のあいつの声は、
少しほっとしたように柔らかくなって。

ーーーけれど、それだけだった。


あとは、いつも通り悪態をつきあって、
そうして電話は切れた。答えに関して
催促はなかったのだ。ーーだがしかし、







"好き、だわ"



あの言葉に対して、俺は一体どんな答えを
返すつもりなのだろうか。

それは案外と難しいもんで。心中には何か答えがあるものの、言葉にすることには苦戦する。






「そのまんま伝えりゃいいじゃねーか。
あんたは格好つけようとして遠回りするから
いつもキザな言い回ししかできねーんでさァ」

「キザ・・って、誰がだ！！」





この齢18のガキは、俺に対して容赦がない。
隠す気もなければ気遣う気もない。

ストレートに遠慮なく説教を垂れるこいつは、
だがしかし、幾度となく俺の図星をついてくる


そろそろ弱味を握られてもおかしくねーだろう







「ーーつーわけで、早ェとこ引っ付いて弱味
作ってくだせェ。思う存分、擦り切れるまで
使ってやりますんで」


「・・・そりゃあ、随分な弱味だな」





擦り切れるまで使用できるほど大きな弱味など
これから自分にできるのだろうか。

Aが、そんなものになり得るのだろうか。






(ーーー目が離せねェのは、確かだな)




放っておきたくないのも、・・いつの間にか、
関わることに面倒を感じなくなったのも、

多分いつの間にか、あいつが俺の中に土足で
踏み込んできたからだ。・・さらに、そうして
踏み荒らした地を余計に抉るもんだから、
あいつのいた痕跡が消えないのだ。






「・・ちょっくら出てくらァ。Nの取り調べに
ついては代わりの者をよこす」


「やれやれ、人使いが荒いねィ」





粛清が銃声が終了した明け方に比べ、
空はだいぶ明るくなってきた。

今日はきっと、清々しい晴れ空になるだろう。


雲の隙間から覗く太陽の光にそんな予感を
抱きつつ、俺は一歩踏み出した

特別な体温→←格好つけるな

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