寿限無 ページ22
ー土方サイドー
「んじゃ結局、あの女は帰したんですかィ」
「当たり前だ。屯所になんざ置いておけるか」
「・・これからしばらく会えねェでしょ。
心配じゃねーんですかィ」
「元々、俺はあいつを気にかけてやる義理は
ねェからな」
パトカーの中で、運転席に座る総悟は
呆れ顔で、わざとらしくため息をもらした。
「あんたは今も昔も、格好つけすぎでさァ」
あの時も、と呟いた総悟がいう、"あの時"が
そいつの姉貴の一件を指していることは、
容易に想像がついた。
「本当はそばにいてやりてーくせにねィ」
「気持ち悪ィ事言うな」
粛清の日は、晴れてくれるだろうか。
どちらかといえば、雨天よりはやりやすい。
雲行きの怪しい空を眺めながら、
無理やり意識をそっちに飛ばす。
「たまにゃ人間の汚ェ欲望ぶちまけてみても
いいんじゃねーですかィ?色魔の罪でブタ箱に
入るのだって、案外いい気分かもしれねェ。
・・そうだ、それが人間だそれが土方だ
お前ならできる」
「お前は俺をどうしてーんだよ!!」
色魔の罪とはまた問題の在りどころと事情が
変わってくる。テキトーなこといいやがる。
信号が赤に変わり、パトカーはスピードを
緩め、ーーーやがて止まった。静かに唸るエンジン音を聞きながら、かすかな振動に身を任せ
隣のドS野郎の声を聞き流そうとした。
「ーーーつまり、・・あんたみてーにテメェを
テメェ自身で押さえ込んでちゃ、猛スピードで
老いが迫ってきますぜってこったィ」
「・・・ガキが偉そうなこと言うな」
・・が、どうやら今日ばかりは、
聞き流せないらしい。
自分の生き方ややり方について後悔などしちゃ
いねーが、その奥の奥に隠された気持ちは、
気づいてしまえば面倒なものだ。
それはできれば死ぬまで気づきたくねーもんだ
刀を握る俺たちが、一般の人間と同じように
素直に"それ"に気づき求めることは、
許されねーだろうから。
「そろそろ丸くなってくだせーよ。いつまでも
独り身イライラ青筋瞳孔かっ開き二コマヨ中毒野郎でいられちゃ困りまさァ。・・さすがに
キャラが濃すぎます」
「寿限無の要領で悪口を連ねるな」
「あり、足りませんでした?」
「十分だわ」
ーーーそれにしても、こんなガキに見破られて
いようとは俺もまだまだということか。
小さく苦笑し、数日後に迫った粛清へと
意識を飛ばした
178人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!無事完結の運びとなりました!最後まで見てくださり、ありがとうございました!次回作も気合を入れて頑張ります! (2017年7月4日 22時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 番外編の完結、おめでとうございます! ニヤニヤしながら読んでました笑 私も、この二人はゆっくり進んでほしいなと思います! 次回作、頑張って下さい!楽しみにしてます!! (2017年7月3日 22時) (レス) id: 684ce788b1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございます!おかげさまで、今度はトラブルなく無事完結いたしました!目を通してくださり、感謝です!土方さん…イケメン具合は素晴らしいですね! (2017年7月3日 14時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 完結おめでとうございます!土方さんがもう…!イケメンすぎて半端ないです…!!番外編もニヤニヤしながら読んでます!これからも応援してます!! (2017年7月2日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ミンティアさん» ありがとうございます!嬉しさに打ち震えておりますっ!これからも皆様と共に楽しめる作品を目指します! (2017年7月1日 11時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:シュシュ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年6月16日 1時