濁された理由 ページ31
(ーー参ったなぁ、)
酔いの回ったお客様は、冷静な判断力を
失ってしまう。そんな人たちに強く言ったところで、理解してくれるわけでも、今私の腕を掴んでいる手を離してくれることもないだろう。
「あ、ほら!俺の連絡先渡すからさ!」
「暇なときでいいから連絡してよ!」
「えっと、ですね・・、」
かつてない状況に出くわし、
ほとほと困り果てていれば。
「ーーーそんなにおなごと戯れたいのならば、
それ相応の店へ行ってはどうだ」
ひとつ、落ち着き払った、ーーそれでいて、
ゾッとするような声色が落とされた。
聞いたことのあるその声に、ついビクリと、
私の肩を揺らした。
「・・何だこの長髪」
「おっさん、邪魔しないでもらえる?」
「おっさんじゃない桂だ」
外見が若いから忘れがちだけれど、
そういえば私も小太郎も、
おっさんおばさん予備軍なんだった。
「悪いが、・・その女には先約がある。
貴様らは手を引け」
「ーーーッ、・・チッ、んだよ」
その時、私からその人の表情を見ることは
できなかったけれど、ーー彼にしては珍しく
凍てついた雰囲気を醸し出していて。
それにぎょっとしたように、お客様は
引いてくれた。カウンターに戻ったその人は
大げさにため息をついた。
「言ったそばから何をやっているんだお前は」
「たまたまよ」
「女がたま○まなんて言うもんじゃない」
「ねえ、イントネーションが違う」
全く、男とはいつの時代も、会話を下に
持って行きがちだからいけない。
こんな堅物までもそうなのだから、きっと世の中には下が溢れていることだろう。
「・・・仕事終わり、裏口で待っている」
「え、でも_____、」
すくっと席を立った小太郎は、レジへ向かう。
時たま、仕事終わりまで本当に店外で待っているのだから呆れてしまう。
せめて中で待てばいい、なんて毎度言ってみるのだけれど、何故か理由を濁されてしまい。
(ーーーま、読みにくいところは昔から変わらないか)
揺れる長髪を目で追いながら、私はその人の
立った席の片付けを始めた。
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シュシュ☆☆(プロフ) - さざんかさん» 読んでくださり、ありがとうございます!かなり前に書かせていただいたものなので、今も読んでくださる方がいて嬉しいです! (2022年12月29日 9時) (レス) id: e568b5485d (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - 更新お疲れ様でした。投稿してくれてありがとうございました。本編でも、特に番外編でも涙を流してしまいました。とても素敵で感動的で、桂小太郎がさらに好きになりました。出会えてよかったと思える作品です。 (2022年12月11日 4時) (レス) @page44 id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 亜麻音さん» ありがとうございます!楽しんでいただけて嬉しいです!! (2021年8月5日 20時) (レス) id: 226626a196 (このIDを非表示/違反報告)
亜麻音 - 私ズラ大好きなんで、この話見つけたとき凄く嬉しかったです!素敵なお話をありがとうございました。 (2021年8月5日 15時) (レス) id: 0cca164e31 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ゆかさん» ありがとうございます!確かに桂さんオチ少ないですよね…!私も書いててとても楽しかったので、また書かせていただきます! (2018年3月13日 11時) (レス) id: ad40a3ccd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年4月11日 0時