難しい ページ15
「ーー小太郎が堅物なのは知ってるよ。
奥手なのも鈍感なのもわかってる」
「A？」
「でもここまでくると焦れったいっていうか」
ハグや手繋ぎなんて初歩中の初歩だ。
別にその先を目指してるわけじゃないし、今は
そんなことを考えてる場合じゃないというのは
重々承知している。
ーーーでも、どうやら私の中には、僅かながら
乙女心なんてものが存在していたらしく。
「好きな人と先に進みたいと思うことって、
おかしいのかな」
自然と溢れた質問に、小太郎が目を丸くする。
きっとあなたは、ちゃんと言わなきゃわかって
くれない。気づくには時間がかかる。
ーーー私は、気づいてもらえるまで待てるほど
大人じゃないみたいだ。
静かにソファから立ち上がる。
一歩二歩と近づく先には、想い人がいて。
「どうし_______、」
この時の私は、多分、どこかおかしかったのだろうと思う。
何も考えず、よくに従った結果、ーー私は自らの唇を、その人に押し付けていた。
男のくせに柔らかげなその唇が、私に触れた。
小太郎が息を飲んだのがわかる。やっちゃった
と小さな後悔が浮かんだのは、・・ゆっくりと
唇が離れ、彼と目があった直後だった。
(・・・馬鹿だ)
こんな不意打ちみたいな卑怯な真似、・・絶対
よくない。かっこ悪い。きたない。
固まったまま無言をつらぬく小太郎から
思わず目をそらす。
あちらも何かいうわけでもなく。
・・・私はそっと、その隣に腰を下ろした。
「ーーごめ、」
「すまなかった」
「ッ、・・え？」
やっと声を発したのは私___、だと思ったが
実際先手を握ったのは小太郎の方だった。
「男たるもの、こういうことに関しては
リードしてやらねばならん立場だというのに」
「い、いや、私も焦っちゃって、」
小太郎は考えるような素振りを見せた後
呟くように口を開いた。
「ーーー"待ってるから��と言っていたのは、
このことだったのか・・？」
無言で頷く。
・・・何だ。あの言葉、ちゃんと届いてたんだ
「俺も、少しばかり慎重になりすぎたか。
恋愛というのも、難しいものだな」
「そうだね、その通りだ」
自分を制御できずに、今回みたいなことを
してしまうこともある。まったく、その通り。
恋愛とは難しいものだ。
「ーーー礼を言う、A」
その人が、いつにも増して真剣な顔をするものだから、つい吹き出してしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 275人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シュシュ☆☆(プロフ) - さざんかさん» 読んでくださり、ありがとうございます！かなり前に書かせていただいたものなので、今も読んでくださる方がいて嬉しいです！ (2022年12月29日 9時) (
レス) id: e568b5485d (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - 更新お疲れ様でした。投稿してくれてありがとうございました。本編でも、特に番外編でも涙を流してしまいました。とても素敵で感動的で、桂小太郎がさらに好きになりました。出会えてよかったと思える作品です。 (2022年12月11日 4時) (レス) @page44 id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 亜麻音さん» ありがとうございます！楽しんでいただけて嬉しいです！！ (2021年8月5日 20時) (レス) id: 226626a196 (このIDを非表示/違反報告)
亜麻音 - 私ズラ大好きなんで、この話見つけたとき凄く嬉しかったです！素敵なお話をありがとうございました。 (2021年8月5日 15時) (レス) id: 0cca164e31 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ゆかさん» ありがとうございます！確かに桂さんオチ少ないですよね…！私も書いててとても楽しかったので、また書かせていただきます！ (2018年3月13日 11時) (レス) id: ad40a3ccd1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シュシュ☆☆
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年4月11日 0時
