【銀魂】願い続けて

番外編1ー平和ー ページ37

「ーーねぇ、小太郎」

「何だ」


「・・・昨日またニュースになってたよ」




新聞一面を賑わせ、ニュースでアナウンサーに
渋い顔をさせるのは、私の幼馴染兼恋人。
桂小太郎である。攘夷グループ、
桂一派のリーダー。


再開してから数ヶ月で、ここまで知ることが
できたのはいいのだけれど、





「皆が望む国にするため、日々奮闘している
だけだ。・・騒ぎになるのは、世間がそれだけ
我々に注目しているということだろう」


「いや、ーーこれは完全に私情挟んでるよね」






"真選組屯所怪奇、トイレットペーパーが全て
ティッシュ素材に！厠が詰まって大惨事！？"


小太郎の記事と同様、先日新聞の一面を
大きく飾ったのは、そんな意味不明な見出し。

あの厳格な集団に、こんな見出しがつけられる
とは、小太郎にとっては愉快痛快この上ないんだろうけれど。


私から言わせてみれば、子供の悪戯だ。





「ふん、奴らめ、利用されたことなど気づきも
せず、意気揚々と用を足しているなど許されん
制裁を加えてやったのだ」


「協力してもらったじゃない」

「違う。利用してやったんだ」




そうだとはしても、厠くらい普通に行かせて
あげてほしい。いつまでも少年な彼に苦笑を
浮かべ、一旦新聞を閉じた。


刀を磨く小太郎の背中にもたれかかる私は、
その背中にコテンと頭をぶつけた。





「・・・ん、どうした」

「いいえ。ただ、暇だなぁと思って」




一応、今は小太郎達の隠れ家に来ているわけだが、何せ隠れ家だから、相応に静かな住宅街。
辺りには何もない。人を隠すには人ごみとは
よく言ったものだ。





「こうしてると、平和ね」

「見せかけの平和だ。いずれ綻びが出る」


「あなたが言うと冗談に聞こえない」




部下の人たちはどうやら別室にいるらしい。
気を遣わせてしまったか。



背中越しに、彼が刀を磨く音を静かに聞いていれば、・・瞼が重くなってきた。

こくりこくりと首をもたげていれば。





「ーーー横に来い」

「ん？」

「肩を貸してやる。眠いなら寝ろ」



「・・どうしたの？今日クールじゃん」




いつも鈍感の極みであるくせに、こういう時は
気づいてくれるなんて、ずるい。

ーーこの男は、こうやって不意打ちにキュンと
させるのが得意だ。



素直に隣に移動した私は、お言葉に甘えて、
大きく暖かい肩を借りて一眠りすることにした

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