【銀魂】時には時間を忘れて過ごすべし

最終的には ページ45

"らしくない"

最近になって、何度自身で思ったことか。






「仕方ないじゃん。二日間会えてないんだし。
毎日あんだけ一緒にいちゃあね」


「へー。つまりお前ェ、寂しかったわけか」

「は？そっちこそ」




・・なんだか以前にも覚えのあるやりとりだ。
そんな記憶に口元を綻ばせながら。





「俺ァ寂しくはねーよ。ただつまんねーなと 思ってただけでィ」

「それが寂しいっていうんでしょうが」

「んなこと一言も言ってねーよ」




総悟の匂いというのは、何とも言えない。
表現できないけど、ーー私にとっては好きな匂いで。密着すればするほどに強くなるそれは、
私から冷静さを取り除いていく。






「時間はいいのかィ」

「今は、いい」




珍しいこともあるもんでィ、とからかうような
口調が聞こえて少し。ーーそいつの腹に回していた腕が解かれて。

・・そのまま向き合うように、総悟が体を
こちらに向けた。



髪の毛を通る指が、刀を握る男の手で、
ーーそれは間違いなく人の命を奪ったもので
あるのだけれど、・・そんなことは忘れて
しまえるほどに、優しい。

言葉は乱暴なくせに、私に触れるときだけは、
ふわりと優しくそっと肌に当たる。



ーーーが、それもつかの間。・・そいつの顔は
見慣れた黒笑を浮かべて。









「んじゃ、・・・今晩の時間は俺に捧げるって
意味で受け取っていいんだな？」

「は？え、」



「いやー、楽しみだねィ。とりあえず風呂入って下着つけずに襦袢着てこい」

「ストップゥゥゥウ！」





そういうことは言ってない。断じて。一言も。







「今日はダメだって！明日も仕ごッ、ーーん」





私の反論を飲み込むように包まれた唇は、
軽く吸われて、離される。

小さなリップ音を立てたそれは、
ーー私の中で、甘くしびれて、溶けた。








「ーーーやっぱテメェを黙らせるにゃこれが
一番いいな」

「ッ、ふざっけんな変態！！！」





艶やかに舌なめずりをした総悟に、
まだまだ勝てそうにないことを悟りながら、

ーーけれどいつか主導権をこちらにつけること
を誓いながら。






「あぁぁぁあ！！やばい！もうこんな時間！
寝ないと明日の予定に支障が出る！」


「おい、今日は時間は気にしねーんだろ」

「前言撤回おやすみ！」


「ふざけんな待て雌豚」「待たない！」






やはり最終的には、恋人より腕時計。

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