【銀魂】時には時間を忘れて過ごすべし

ご褒美 ページ36

「・・あの、総悟クン」

「どうした雌豚」
「そろそろドSのソテーでも作ろうかな」



要するに殺してやろうかと言っているのだ私は

このすまし顔の顔面詐欺野郎を。





「・・・私の飲み物はどこかな？」




さっき、ちょうど1分前くらいに、そいつは
自販機から缶を取り出して帰ってきた。ーーが

その手に握られていたのは、ココア一缶。




「誰がいつお前のモンまで買うっつったんでィ
俺が人のために動くわけねーだろうが」

「やっぱそうだよね！おかしいと思った！
よかったよいつも通りのクソ根性で！！！」


「ったく、何ヶ月俺の見張り役やってんでィ。
そろそろ俺に期待すんのやめろ」

「それは自慢げに言い切ることじゃないからね
あと私の本職はお前の見張りじゃないからね」




ずぶぶ、と音を立てて数口飲み干し、
そいつはわざとらしく「はぁ、」と息を流した






「あー美味ェ。あったかい」

「いつか斬り刻んでやるから」





そういえば、随分と昼間より寒くなってきた

まだまだ太陽が沈む気配はないが、そろそろ
夕方と呼ぶ時間帯に突入したのかもしれない。


心なしかカラスの声が増えてきた空を見上げ
物思いにふける。今日は本当に長い間、ここで
時間を過ごしてしまった。


本来の予定とは全く違うのに、なぜか嫌な気分
じゃない。ぼーっとしていただけなのに、

嫌どころか、満足を感じているくらいだ。



ーーなんて浸っていた私の頬に、・・ふと
暖かい何かが触れた。





「ーーーん、」

「・・は？・・何」

「あとやる」




その犯人が総悟で、私の頬に当たった温度は
そいつのココアだということが判明する。
差し出されたそれを、ひとまず受け取れば。






「・・時間を忘れるっつー目標を達成した
ご褒美でィ。ありがたく受け取りやがれ」

「ご褒美これかよ」

「十分だろ」





飲みかけなんですけども。少し冷めてるんですけども。・・私はココアよりコーヒー派なんですけども、などなど。

こいつ相手に私の文句は、やはりどこまでも
尽きる事はなさそうだけれど、





(ーーまあ、今日はいいか)




小さな笑みを口元に浮かべながら、
飲みかけのそれに、私はおとなしく口をつけた

プラスマイナス→←惚れるということ

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