【銀魂】時には時間を忘れて過ごすべし

よろしくない事態 ページ32

何か企んでいるのかと、道中常に警戒を
怠らなかった私であるが、・・たどり着いたのは、やはりどこからどうみても普通の公園であった。

ベンチに並んで腰掛ける。平日だからか、
鳥の鳴き声しか、耳に入るものはなかった。
ずいぶん静かで、穏やかな公園だ。人がいないにしては、清掃が行き届いているし。






「てかここ、総悟のサボり場の一つじゃん」

「滅多にひと気がねーからな。昼寝には絶好の
場所なんでィ」

「大前提に寝るな。仕事しろ」




このデートとやらが終わったら、ちゃんと仕事してよ、と指摘すれば無視されてしまった。
それは否定の意なのかコノヤロー。







「で？ここで何しようって？総悟が大道芸でも
してくれるの？」

「んなわけねーだろィ」


「んじゃここで何すんの」

「ぼーっと」
「・・ぼーっとォ！？」




ありえない！思わず立ち上がる。
今何て言った？ぼーっとする？ぼーっと！？





「あのねェ！ぼーっとする、なんて動詞はこの世界から滅するべきだと思ってんの私は！
つまり何も考えず馬鹿みたいにそこにとどまるってことでしょ！？何その非効率な行動！？
何の意味があるの！？生産性がない！！」

「落ち着きやがれ時間マニア」


「何も生まない生まれない！」
「韻を踏むな」





そんなことを繰り返してみてよ。あっという間にゴリラだ。人間は退化の一途をたどることに
なる。何てこった。ーーそして愚かにも、
こいつはそれを私に提案しているのだ。






「ほんっと、総悟って剣の腕前はすごくても
頭は空だよね。脳みそ使わなさすぎて埃でも
詰まって機能停止してんじゃないの？」


「ったく、失礼な奴だな。別に意味もなく
ぼーっとしろっつってるわけじゃねェだろィ」



「・・じゃあ何のために！？」




早めに答えを頂戴したい。
こっちだって暇じゃないのだから。





「ーーー今日はテメェに、・・時間を忘れることを教えてやらァ」




形のいい口角をあげて、そう言い放ったそいつに、私はこれでもかというほど眉を歪め
眉間にしわを寄せた。

ーーー私が、時間を忘れる？






「・・・・はあ？」


「ほれ、そう決まりゃあ、さっさとその腕時計
外してこっちによこしやがれ」

「え、ちょ、待っ・・え！？」




何やら、私にとってあまりよろしくない事態に 陥ってしまったようである。

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