【銀魂】時には時間を忘れて過ごすべし

全力疾走 ページ21

「・・・総悟！？」



突如現れたのは。見慣れたそいつ。
そういや夜間巡回の当番に回していたんだっけ




「・・げっ、」
「ご無沙汰ですねィ、万事屋の旦那」




総悟の顔を見た瞬間に顔をしかめたその男だが
当の本人は特に気にしている様子はなく。




「夜間巡回中に女が襲われかけてると思って
きてみりゃ、どういう状況でィこりゃあ」

「襲ってねーよ。こちとら仕事のために
仕方なくだな、」

「旦那、言っときますが、この女は客なんつー
上等なもんにゃなれませんて。ゴリラですぜ」

「総悟それどういう意味？」


「え、そうなの。ゴリラに育てられたのオタク
ゴリーザン？」

「ターザンみたいに言うな。バカなの？」




あぁ、聞くまでもない。バカなんだろう。
総悟の知り合いなのだからバカに決まってる。
ため息をひとつ。こいつら、やはり何やら
因縁持ちのようだ。この胡散臭い男との間に
生まれる因縁とは一体どんな出来損ないだ。







「仕事ってんなら、万年金欠のあんたに
協力してやりてーとこだが、・・生憎こいつは
貸し出せねェ」

「ほお？」




ぐいと腰を抱かれ、引き寄せられて数秒。
ーー見事に速まる鼓動。真っ赤になった顔を
隠そうと伏せたところで、万事屋の旦那とやらは「なるほどな」と納得の意。





「野郎どものはけ口じゃなく、沖田くん専用の
はけ口だったってわけだ」

「理解が早くて助かりまさァ」
「いや違う！！！」




どう考えても違う。・・不運なことに、総悟と
同性質を抱えているらしきその男は面倒な奴だ
本能でわかる。面倒だ。





「・・・んじゃそういうわけなんで旦那、
せいぜい雌ブタ引っ捕えて金落とさせることに
精進してくだせェ」

「テメェも雌ブタはちゃんとしつけとけよ。
そいつすぐ噛み付いてきやがる。トリュフじゃ
ねーぞ俺は」

「ねえあいつ逮捕していい？」

「今手を下さずともいずれ檻ん中だ。急ぐ必要もねェだろィ」


「人を半犯罪者みてーにいうんじゃねーよ！」





半分どころかどっぷり全身犯罪者ではないか。
まあ、そんなことはどうでもいい。この男が
いつ檻にぶち込まれようと斬り捨てられようと
私には関係ない。それより今は時間である。







「ーーーってェェエエ！やばっ！あと5分！」




いまだごちゃごちゃと反抗してくる万事屋の旦那とやらをその場に残し、

私は全力疾走するハメになったのだった。

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