【銀魂】恋い者

鼓動をもたらす ページ20

あくる日、私はいつものように起床した。

背伸びをして隣を見下ろせば、
まだ見事にねむりこける団長様の姿があって。





「団のトップがこんな時間まで寝てりゃ
世話ないね」





苦笑を漏らしつつも、枕に一房垂れ下がった
橙色の髪を軽くすくい取る。

ーーさらりと指通りのいいそれは、起きたばかりの私の胸に、一つ鼓動をもたらした









(ッ、ーーやば、)




鼓動といえば、思い出すのは昨日のことで。

休憩中で誰もいなかったとはいえ、
あんなところでやることではなかったと
今になって思えば気恥ずかしく思えるのだ。








「だいたい、サラッとしすぎてるんだよね」



こいつにこういう類の経験があるのかというと
怪しいが、・・何とも手馴れた様子であった。

初めての場合、あそこまで落ち着いて行動に
移せるものなのだろうか。



子供のような寝顔をさらすそいつを
一通り眺めた後、肩をすくめた。







(・・・やっぱ、こいつはわかんないな)





いくら寝顔を見つめたところで答えなど
出るはずもないのである。諦めるか、本人に
直接聞くか、知る方法とはそれくらいだろう




ーーーと、そこまで考えを巡らせたところで、
神威の目が、・・２度３度と瞬きを繰り返して
開いたのだ。








「・・おはよ」

「あぁ、オハヨウ」





これだけ眠っておきながら、
起きるのは苦ではないらしい。

比較的すんなりと目覚めたそいつは、
ベッドから体を起こし、あくびをかました。




・・その様子を観察していた私は、その瞳と
ふと目が合ってしまい。









「ーーーえ、何？朝から何を期待してるの？」
「断じてしてないし！！」





かなりはた迷惑な誤解を受けたのだった。

そこまでみだれた思考はしていないのだ私は








「へー、それは残念だな。俺はチューの一つでもしてやろうと思ってたンだケド」

「ッ、へ！？」





人差し指を自身の唇に当てた神威に、
数秒見とれて、ーーハッとする。









「ッ、・・バッカじゃないの！？」





強めにそいつの肩を押して、私は布団から転げ出る。さあトイレトイレ、とごまかすように声をあげて、ついでに背伸びも繰り出しておいた

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