【銀魂】オトコ×オンナ

相当やられてる ページ39

いつもならば、退勤時間を過ぎても
仕事に手をつけ、空が暗くなってから帰るとという流れであるが、

・・今日の状態で仕事をうまく続けられる
はずもなく、あの宴会の時ぶりに、
仕事を定時で切り上げた。





定時で切り上げたと言っても、季節も季節で
あるから、やはり空は暗い。

今まではこの中を一人で歩んで帰宅することに
何の違和感もなかったが、ーーいまは。


寒空の下を一人で帰路につくことが、
むなしく寂しいものなんだと感じてしまう。






「・・・・たまに、送ってもらったりなんて
しちゃってたからだなァ」




だいたい、私は仮にも警察であって。

武術だって一通りつかいこなせる。
現場実践だってないわけじゃない。



・・・私を送る必要など、どこにもないのだ。



ーーーそれでも沖田は時たま仕事終わりに
ふっと訪れて、家までなんとなく一緒に
帰っていた。

交わす会話は、やはり罵倒を含んだもの
ばかりだったけれど。






(ーーー・・それによく考えたら、屯所って
うちと逆方向なんだよね)




断ればいいものを、私も断れなかったのは
その空間が、・・時間が、かなり楽しいもの
だったからだ。







(ーーうわ、何か感傷的になってる、私)




何でこんなエピローグみたいな思い出し方
しちゃってんの私！


首を横に振って、パッと空をみあげる。

漏れたため息も、移り変わる季節の中で
白いものに変わっていくんだろう。




・・そんなことに意識を向けてみても、
脳裏に焼きついた沖田と女の姿は、なかなか
私の中から離れなくて。









(・・もう、何これ。ーーーベタ惚れじゃん)





自覚とともに自嘲じみた笑みが漏れた。
どれだけ惚れれば気がすむんだろう、私は。

思わず目頭を押さえた時









「ーーーよお、今日は随分早ェ退勤だねィ」

「ッ、・・え」






静かだったはずの空間に落とされた声。


申し訳程度につけられた街灯の明かりによって
目の前から歩いてきたそいつ、・・沖田の顔が
照らされた。








「・・・ど、どうしたの？突然」




脳内にあった顔が現れたことからの動揺を
必死で隠しつつ。

ちらりと一瞥した沖田は、どうやら眉を
ひそめているらしかった。





「何度も電話しただろィ」

「え、電話・・・、あ！」





急いで鞄をまさぐって。

やっと出てきた携帯電話には、
確かに、複数の着信履歴が残っていた





「き、きづかなかった」



こりゃ、相当やられてる

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