【銀魂】オトコ×オンナ

悪い芽 ページ38

時間は午後2時を回った。
坂田さんと昼食を食べてすぐ仕事に戻った私は
書面に判をついたり文書の整理なんかを
していたのだ。・・いつも通りに。


ーーーなのに。







(・・だめだ)




今更になって、あの状況の沖田に対する
疑問やら何やらが湧いてきたのである。






「・・・ハァ」




私が動くたびに小さく揺れるネックレス。
ーーそれがまた、憂鬱を増大させてくる。




あの時、ファミレスの窓の向こう側で、
並んで歩いていた二人は何やら話をしていて。

沖田も腹の中の黒さや性格はともかくとして
顔だけは美男と言っていい。・・そこにセット
になっているのが、これまた美女なのだ。



まさに美男美女。・・ーーーなんてこった。






(・・もしあいつが乗り換えなんてことを
考えてるとしたら、勝ち目ゼロだな)




ネックレスだって、何だかんだいって
沖田が買ってこなきゃつけなかっただろうし。

容姿、女らしさ。・・そういう類では
全敗だろう。









「姐さんどうしたんですか？・・元気ないじゃ
ないですか」

「何言ってんの、元気元気」

「いやだって目が死んでますよ」




目の前のデスクで始末書を片付ける部下。

眉を下げて心配そうに覗きこんではくれるが
実は悩みがあるなんて、ーーしかもそれが
沖田との拗れだなんて言えるはずがない。






「水臭いじゃないですか！何かあったなら
言ってくださいよ！」

「・・・お前にだけは言いたくない」

「俺ほど口堅い男はいませんよ！」
「黙れ人間スピーカー」





なんか合成怪人みたいになっちゃったけど
気にしない。それに事実なのだから仕方ない。


もうこの話はおしまいとばかりに
ペンを握り直した私。ーーしかし、目の前の
部下は素直に引き下がってくれることはなく、

その代わりにそいつはむかつくほど
ワザとらしいため息をつき、・・そして、






「沖田さんのことですか？」

「・・・・・・は？」




その言葉により
握り直したペンは動揺で床に落ちた。
軽い音を立てて転がっていくそれを拾うことも
せずに、しばらく固まって。






「何言ってんのバカなの死ぬの」
「照れなくていいですって〜」

「はい決めたお前クビ！！」
「何でですか！」





何で？何でってそりゃ、その確信めいた言い方
がむかつくし。

どこまで本気で私にその話題を振ってるのかは
さておき、勘づき始めてるらしいそいつ






「・・悪い芽は早めに摘む」
「悪い芽！？」




手遅れになる前に、狩る

相当やられてる→←結論付け

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す