【銀魂】オトコ×オンナ

特別に ページ23

ー沖田サイドー


行列をなす奉行所の役人


いつもならば、規則正しい並びを崩さず
拍子木を打ち鳴らすそいつらが、

ーーー今日は、道のど真ん中であるのも
構わず、丸く何かを囲んでいる。




かすかに聞こえるのは、"姐さん"を連呼する
呼びかけの声。





その人混みをかき分けた末に見えたのは
横たえた体が一つ。








「ーーーおい、どうしたんでィ」
「ッ、・・・え、沖田さん！？」





その体のそばにかがんたでいたのは、
かすかに見覚えがあるAの部下であった

目を丸くするそいつを一瞥。すぐに横たわった
それを確認して、









「・・ッ、何やってんでィテメェは」






つい昨日、キレのいい罵倒を繰り返しながら
俺に酌をしていた女が

ーーー青白い顔で、目を固く閉じていたのだ








「と、突然倒れてッ、」

「・・・テメェら警察だろィ。応急処置くれェ
ちゃちゃっとやれねーでどうすんだ」


「す、すみません」




慌てるだけの役人どもを睨みつけ
ーーー呼吸、脈の確認、怪我の確認。



一通り終えたところで、弱い声とともに
力無い手がふらりと上がる。








「・・・ごめ、大丈夫」




意識の覚醒と共に、目が開く。
ーーが、そいつの視界の焦点が定まっていない
ことを感じ取り。


・・あげられた手を、強引に掴み下ろした。









「どう考えても大丈夫じゃねーだろィ」

「えっ、・・沖田？何で、」


「ったく、仕事ばっかして寝てねーからだ
ちったァ俺を見習いやがれ」


「あんたは、寝すぎ、でしょッ、」







ーーあぁ、どうやら、いつものツッコミを
返し、むりくり引きつらせた笑みを出すことは
できるようだ。

意識はあるし、言葉もしっかりしてる。







(・・・こりゃ、貧血か)





医師的な知識や勘はもっちゃいねーが、
俺はこれまで数えきれねーほどの生命と
対峙してきたのだ。ーーなんとなく、現場経験
からわかることもある。









「ーーー総悟、うちの救護班を呼んでおいた。
もう俺ァ夜間巡回に戻るからな。・・あとは
テメェで何とかしろ」





淡々と言い切った土方さんが
俺の意見も答えも聞かず踵を返す。

いつも追い回している憎たらしい背がみえた







(ーーー格好つけすぎだろィ)




ま、今日だけは特別に、
ーーー・・その背中狙うのは勘弁してやらァ

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